『百人一首』の「音読」を考える
2016-12-08
「嵐ふく三室の山のもみぢ葉は龍田の川の錦なりけり」(能因法師)『百人一首』を声に出して味わう学習
小学校の「古典学習」指導者に求められること
現行の学習指導要領から、小学校において「伝統的な言語文化」分野の学習が必ず行われるようになった。三、四年生の教科書には「短歌(和歌)・俳句」が収載されていて、「音読」中心の学習目標が掲げられている。実際の現場では授業時間の確保も厳しい状況で、1時間程度の中でこうした教材の授業を実践しなければならないのが実情のようだ。時間数の少なさと指導者の「短歌・和歌」への造詣が浅いことによって、ただ単に「音読」をして「お茶を濁す」といった授業となっている状況も垣間見える。秀歌選としては実によくできている『百人一首』に対して、学習者である子どもたちがせめて「音読」して「親しむ」「楽しむ」という目的を叶える学習を創りたいものである。
3年生「初等国語教育研究」の講義で、前述のような内容を扱う回となった。小中高校教員は今まで以上に他校種の学習内容に対して意識を高めるべきであり、繰り返し教材となる古典に対しての段階的な扱い方を心得ておくべきであろう。そんな趣旨の講義の後、実際に学生たちに班内で『百人一首』を音読しながら、好きな一首をを選び理由を話し合う活動。その後、班内の代表者がその「一首」を教材として「音読」を中心とする模擬授業を展開する。「好きな歌を選ぶ」という行為自体が、「古典和歌」に親しむ第一歩である。そして「好きな歌」を如何に「音読」するかという点も重要だ。「読み方」にはその素材への「思い」が端的に表現されるといってよい。どんな教科を専攻していようと、せめて『百人一首』に「好きな歌」があるという教師を育てたいと思うゆえである。
歌を「音読」する効用を具体化する
「やまとことば」の流麗な響きを味わうこと
多くの方が、ぜひ手軽な『百人一首』を「音読」して楽しんで欲しい
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