「君への手紙」届きました
2016-11-25
「空を眺め佇む羽のない鳥がいる
水のない川を行く
櫓のない船を漕ぐ」(桑田佳祐「君への手紙」歌詞より)
11月23日桑田さんのニューシングルがリリースされた。以前より予約注文しておいたので、早速この日にその代物は僕の手元に届いた。封書状のパッケージで表面に手書き文字で「君への手紙 桑田佳祐」とプリントされている。冷静に考えれば「宛名」欄に差出人の名前が書いてあるのはおかしなことだが、切手や消印まで施されたその現実感あるパッケージには、心の琴線が高鳴った。まさに桑田さんが詞に曲に込めてメッセージをくれたわけであり、「手紙」とは元来こうした期待感を持って開封するものなのだといった感慨である。電子メール全盛の世の中にあって、やはりこの「手書き書簡」(この場合は「手書き」プリントではあるが)の趣というのを見直させられる好機である。実際にこれもプリントながら桑田さん自筆の「手紙」が、横書き便箋にして3枚分、歌詞カードとともに封入されている。その内容もさることながら、文字の個性と温かさを鑑みるに、桑田さんがまさに歌詞としての「詩」を紡ぎ出す存在であることが感じられる。
その自筆の「手紙」に込められた「曲への思い」「近況」、そして来年への「公約」を読むに、文体の丁寧さとともに、時折「くすぐり」や「悪戯」の入る粋な内容に、またまた心の共鳴が激しくなるのである。その内容については、やはりこの「手紙」を貰った人でなければ「読めない」ということにして、ここでは詳らかにするのは控えよう。たとえそれが企画者の「商魂」であったとしても、少なくとも桑田さんがこうして1ファンを「読み手」「聞き手」として意識して曲作りをしている感性を、素直に信奉したいと思うゆえである。僕の人生そのものが、桑田さんの曲とともに歩んできたという思いがある。高校生の頃からそうであったが、その歌詞に読める「詩心」と曲に聞き取れる「郷愁」のような感覚は、多彩な曲となって僕の人生の随所で、その峠道を越える際に大きな励ましとなって来た。高校生頃にTV番組で桑田さんが例によって「馬鹿やって」歌っている姿が映し出されると、僕の父親などは「何なんだこいつ!何言ってっかわからねぇ」などと言って批判していたものだが、今回のシングルの2曲目に収められた「悪戯されて」に関してはぜひとも僕の親”世代”の人たちにも聞いて欲しい。「昭和歌謡」を原点とした桑田佳祐の音楽が、存分に発揮された作品に仕上がっている。
「悔やむことも人生さ
立ち止まることもいい
振り向けば道がある」
「いとし Brother,sisiter,mother,&father
時計の針を止めて
サヨナラと出逢いの繰り返し」(桑田佳祐「君への手紙」歌詞より)
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