中学生に古典落語で「笑い」を
2016-11-17
頭の中で想像するから笑える中学生から出された質問の数々
「いつ落語家になろうと?」等々・・・
金原亭馬治師匠、宮崎での2日目。共同研究の一環として、附属中学校でのワークショップを開催した。当初、全校を対象に体育館でという案を中学校側から提示していただいたが、やはり落語の場合は、500人近い中学生が舞台の上の落語家を遠目に見ながらというのは無理がある(特に学校体育館という状況では)と判断し、学年ごとに「武道場」での開催ということになった。師匠には3回も高座に上がっていただくことになり、聊か骨を折っていただくことにも相成った。中学校1年生から、回を追うごとに学年が上がっていく。「学校」という空間で生徒たちは「整列」すると自然に「硬直」した身体になってしまう。「体育座り」はその象徴的な姿勢であるが、まずは僕の「前説」で、少しでもその「身体」をほぐすように努める。それでも尚、中学校1年生などは師匠が入場してきても「拍手」をすることにも気が行かず、僕が「桜」として拍手をして導かなければならないほどの「硬直」が顕然としていることが印象的であった。「国語」などでは「豊かな感性を養う」などと目標に掲げてはいるが、「学校」はやはり根本的な「構え」を見直さなければならないのかもしれない。
師匠の「落語入門」トークは、「落語とはどんな芸能か」といった点からわかりやすく入り、幾つかの「所作」の紹介、「蕎麦の食べ方」などについては希望者を前に出して真似をさせ、会場の同級生たちも次第に砕けた気分になってくる。その後、中学生でも存分に笑える演目で一席。学年ごとに「笑い」のツボが微妙にズレることが観察できて、「言語感覚」という視点からの研究対象として大変興味深かった。何より師匠が繰り返し中学生に伝えたのは、「想像力」ということ。映像全盛の時代にあって「声」を聴いて場面を想像する力を育てるのは、誠に重要なことだ。そして各学年の生徒から様々な質問が出た中で、「いつ落語家を目指しましたか?」といった「進路選択」の質問が共通したのも偶然ではあるまい。また「落語は現代を題材にしたものもありますか?」という質問に師匠は、「あたしは古典落語を旨とする一門ですが、『古典』もできた当時は「新作」だったんです。それが面白いので語りに語り継がれて、いまは『古典』になっているんです。」というお答えに、「古典」のあり方を考えさせる内容が盛り込まれて、「国語」という観点でも大変意義ある会になった。
「笑う門には福来たる」
教師を含めてもっと「学校」に「笑顔」がなければなるまい
このくにの社会から「笑い」が少なくなったゆえに、「落語の力」を若い人たちへ。
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