MAXのみを讃えること勿れ
2016-10-17
日本球界最速という165KmメディアもファンもこのMAXを讃えるが
この大谷投手の投球で見るべきものは・・・
野球シーズンも大詰めを迎え、いよいよ日本シリーズ進出チームが出揃った。2000年以降は特段、日本プロ野球に贔屓チームはないが、宮崎に来てからというものこの地に”腰を据えて”キャンプを張るチームには注目する気持ちが強くなった。宮崎をキャンプ地にするのみならず、地元九州の選手に注目してスカウトをしている編成などを見ると尚更、興味が湧くものである。セ・リーグ優勝のカープは日南をキャンプ地とし、12球団1の練習量を誇る。一方、王会長への敬意もあるが、ホークスには地元宮崎出身のエース・武田を擁する。シーズン中盤までは、この「広島×福岡」という西日本対決を予想していたが、ホークスの失速のみぎり躍進して来たのが北のファイターズであった。昨日はテレビ映像ながら試合を観戦していて、やはりファイターズ躍進の原動力となった大谷投手の投打に自然と注目する結果となった。
彼は指名打者で試合に出場していたが、9回のマウンドにクローザーとして上がった。そしてメディアが喧しく伝えているように、「日本球界最速165Km」の投球記録を塗り替えた。もちろんその球速はMLBであっても圧巻の投球であり、これまでの速球投手の企画からすると型破りである。だがしかし、対打者という観点から見ると決定的なのは「最速」ではなく、150Km前後の変化球であると痛感した。時に140Km台後半のスライダー、そして150Km前後のスプリット(テレビ中継のアナウンサーは「フォーク」と呼称するが、これこそ「スプリットフィンガー・ファーストボール」の約でこう呼びたい。)である。打者からすると、ほぼ速球が来たように見えるところから微妙にスライドしたり落ちたりする。この日の試合でホークスの選手たちも「最速」はファールにする機会も多かったと見受けたが、この変化球に空振りをさせられる場合がほとんどであった。何事も「最高・最速・最高値」などをよしとする、過当競争社会の価値観から抜け出せない発想には、誠に危うさを感じざるをえない。やはり大谷投手の場合も、速球への注目のみならず変化球の精度と制球こそが生命線であることを、評価すべきではないだろうか。
強引なだけでは通用せず
「最高」狙いの思考が地球規模で限界を迎えている
やはり「柔弱」の剛たる発想を目指さなければならないはずであるが・・・
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