自然に和むために届く声を(群読劇稽古7日目)
2016-08-06
南国の亜熱帯植物が僕らを出迎える空に海に吸い込まれるちっぽけなひとりの人間の声
群読劇稽古も現地リハーサルへ
初めて宮崎を訪れたのは、野球09WBC日本代表合宿の際であった。イチローが先導役となり苦闘の末に決勝での勝利し優勝2連覇。この宮崎からロスまで、観戦できる全ての練習・試合をライブで僕は目の当たりにした。そんな意味で、僕にとって宮崎は野球世界一への入口であった。次に宮崎を訪れた際に宿泊したのが青島であった。嘗てはONがキャンプ宿舎として滞在し、温泉も豊かで情緒漂う青島グランドホテル。またこの宿から至近距離にあるお店の海鮮丼に勇気をもらい、僕はまた新たなる扉を開くことになる。この青島は、僕にとって運命が開かれる土地であるといってもよい。その後、時折宮崎に来訪する両親とともに青島を頻繁に訪れ、亜熱帯植物園の売店で販売する1杯1000円もするマンゴージュースを、母はお気に入りであった。その植物園が「宮交ボタニックガーデン青島」と称して、この春リニューアルオープンした。奇しくも今回は、この植物園を舞台に群読劇を公演することになった。大学×県立芸術劇場×公園協会の連携協力事業として、地域の人々とともに豊かな物語が共有できたらという願いをもって、3月から計画を進めてきて、ようやく本番前日に漕ぎ着けた。
打ち合わせ段階から何度も”ボタニックガーデン青島”に足を運び、あらためて元来の自然を存分に活かした公園であるという発見の連続であった。そしてまた今回初めて現地で群読劇通し稽古を行い、”自然と和む”という「思想」を発見したような気がしている。東から来る爽やかな海風、陽は西の山際に傾き、円形ドームのような空には雲のグラデーションが何かを訴える。その下に配された植物たちの生命力、そして虫たちとの共生。人造的なテーマパークが全盛の時代にあって、この植物園の環境は、誠に自然にも人間にも優しい。いわば「自然の自然たる営み」が肌で感じられる場である。もしかすると物見遊山の人の眼には、きっと物足りなく映るのであろう。だがしかし、蔓から生じる一つの実にこそ、生命の営みと力が発見できる。そんな些細な「生きる」を見逃さない感性こそ、今の時代に必要な「愛と平和」の入口なのではないだろうか。その場で、僕たちが創ってきた精一杯の声を、地域の人々ひとり一人に届けようとする。それは決して作為的で自然に抗う行為ではなく、己もまた自然の一部なのだと気づくための行為なのではないか。蝉の声、波の音、そして神鳴る音。リハーサル前に急な降雨だが、すぐに止み決行。そしてリハーサル5分後に雷鳴とともに豪雨。自然の粋な計らいに、僕たちは感謝しなければなるまい。
どんな環境へも適応する
それが”自然に和む”ということ
ちっぽけな人間ゆえに傲慢な大声ではなく、届く声こそが生きる糧になるのだ。
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