群読劇「星の王子さま」稽古初日挨拶
2016-07-31
今ここに参加している不思議学校の「音読」への問題意識から始まる
参加者とそして己と向き合う9日間が始まる
いよいよ地域連携型群読劇公演に向けて、稽古が始まった。出演していただく女優さんが早朝1番の便で東京から宮崎へ。その後、公演場所である宮交ボタニックガーデン青島を下見。夏の太陽が容赦なく照りつけるが、やはり海浜リゾートたる青島には夏が似合う。名物の店で海鮮丼を賞味し栄養をつけて、いざ大学へ。スタッフ学生たちが稽古の準備を着々と進めていてくれていた。一般1名・大学生6名・中学生2名の合計9名の出演者が初顔合わせ。開口一番、僕がまずはこの公演の趣旨を含めた挨拶を行った。以下、その趣旨を記しておくことにする。
「いまこの場になぜいるのでしょうか?」この場所にみなさんがいるために欠かせない人たちの顔を、数名でも思い浮かべてみてください。各自がそのような人と人との繋がりがあって、今日この場に集合できたのです。その人たちへの感謝を噛み締めて、この公演に向けて動き出しましょう。さて、みなさんは「教室での音読」は好きでしたか?好きだった人も嫌いだった人もいるでしょう。問題は「教室での」という点にあります。たぶんこのような企画に参加しようとするみなさんですから、「音読」「朗読」「表現活動」が嫌いではないはずです。だがしかし「教室で」行われると、どうも思ったように表現できなかった現実があったのではないでしょうか。同時に端的に申し上げますと、「教室で行われる音読は表現として適切ではない」ことが多いのです。そのことに気づくためには、「学校」の中に「表現活動」を閉じ込めておいては、いつまで経っても埒が開きません。
そこで今回は、宮崎県立芸術劇場との連携協力事業として、脚本・演出家の方や女優・音楽家の方々をお招きして、演劇表現の持つ豊かな芸術性に生身で接することで、この「教室」という籠に閉じ込められた「音読」を解放し、より豊かな「群読劇」に仕立てていくことで、能動的な朗読学習活動方法が発見できるのではないかと考え、この企画に取り組んでいます。出演者・スタッフの学生のみなさんがこの企画に取り組むことで、教員や社会人になった時に、自らのそして周囲の他者の「表現」に対して敏感となり、豊かな感性で「朗読」活動に向き合う生き方ができるようになる契機として重要な機会となることでしょう。もちろん今回公募に応じてくれた一般の方にとっても、「芸術」「文字表現」「音声表現」への意識が高まり、自らの歩みにおける新たな道標が起ち上るのではないかと期待しています。また地域の中学生のみなさんは、決して「学校」の中では体験できない「表現活動」に参加し、自らの強さも弱さも見つめることになるでしょう。
最後に桑田佳祐さんの新曲「百万本の赤い薔薇」の一節。
「広い世界の果てに、愛と憎しみの雨
ずぶ濡れはいつの日も、弱くはかない命。
『愛と平和』なんてのは、遠い昔の夢と
強くあれと言う前に、己の弱さを知れ」
という歌詞の一節をみなさんにお知らせしておきたいと思います。
社会を見渡せば、理解に苦しむ事態ばかりが起きています。
それだけに、僕たちは『愛と平和』を諦めることなく、
そのためにも「星の王子さま」の珠玉のことばたちに触れることで、
「己の弱さ」を知り、この時代を生きる意味をこの宮崎・青島の地から
全世界に発信したいと願っています。
(*以上、冒頭挨拶の趣旨に加筆修正を加えてここに覚書とした)
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