グルーヴとことばの多様性

2016-06-24
「チキどん(チキどん)♫〜」
「ノリがいい」などと人は云う
桑田佳祐ニューシングル発売直前にして

発売を約1週間後に控えて、桑田佳祐が新たな音楽を披露している。この日はNHK「SONGS」が桑田を取り上げ、ニューシングルに入っている楽曲がスタジオ演奏で展開された。今回の中心的な曲は「よし子さん」。嘗て「昭和の爆笑王」と呼ばれた故・林家三平師匠のネタをモチーフにして、独特の「グルーヴ」を展開する楽曲となっている。番組内でも音楽評論家が語っていたが、この「グルーヴ」という語が気になった。『イミダス2016』によれば、「演奏の奥にあるリズムやサウンドの色合い」とあり、所謂「ノリ(乗り)という言葉と重なる部分が多い。」と解説されている。冒頭に記した「チキどん」の繰り返しの「ノリ」は、まさにこの曲が昭和歌謡と通底しているような奥行きと色合いを感じさせる。

三平師匠のネタは概ね、「好きです、好きです、よし子さん!こっち向いて・・・キスさせていいじゃないのさ、なぜ逃げるのさ〜うっ!よし子さん〜!」といったフレーズで、寄席などでは「好きです」を連呼しているうちに、座席のおばさまなどが「よし子さん」を先走って言ってしまい、「まだ、言わないでよね」などと客にくすぐりを入れながら展開し、爆笑の渦に呑まれるといったものである。そこにはまさに「昭和的」な対話と笑いの機微が看て取れるような気がする。僕が中高生の折にテレビで桑田佳祐が唄っていると、父などが「何を言っているのかわからない?」と疑問を投げ掛けることがよくあった。あれから長い月日が経過したが、未だ桑田佳祐の音楽は進化し、新たなことばの多様性を展開し僕らに衝撃を与えてくれる。「ハキハキ(明確に)喋る」だけをよしとしてきた日本の(教育的)言語環境に革新をもたらし、むしろ日本語の音韻と意味の微妙な関係性の境地を、桑田佳祐は常に僕らに体感させてくれる。そんな期待を持って、来週のシングル発売を待ちたい。

還暦になりなむとする桑田佳祐の「グルーヴ」
邁進する時代であった昭和の歌謡的「ノリ」
歌詞と曲との適合性、得意の「字余り」、日本語の多様性と可能性の示唆でもある。
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