3年目の公開講座始まりました
2016-06-05
地域の方々との出逢い「朗読で味わいを深める日本文学」
毎年受講してくだる方々も、新たにいらした方々にも感謝
地方大学の大きな役割として「地域貢献」がある。東京在住時は、私立中高教員であったり大学非常勤講師であったりで、ほとんどこのようなことを考えることもなかった。だが、居住地周辺の自営業店舗を大切にしたり、マンションの管理組合運営に協力したりと(理事長を2期経験)、「地域」への意識は高かったと自負できる。それゆえに現在の勤務校では、格好の条件で「地域貢献」に取り組むことができる。中でも自らが深い研究対象としてきた「日本文学」を通じて地域の方々と交流し、その魅力を享受していただける公開講座の機会は、誠に充実し楽しい時間となる。それは「地域貢献」も仕事のうちとして、無償で実施しているので尚更、この気持ちに自らが支えられているということにもなる。2年前の5月に十数名の受講者にいらしていただき開講してから、2年の月日が経過した。
今年度も諸々の仕事とゲスト講師の調整に追われ約1ヶ月ほど遅れて、ようやく開講した。初年度から必ず受講してくださる方々が再び教室にいらしていただき笑顔で挨拶をいただくと、誠に心温まる思いである。また新たな顔ぶれの方、そして地元の短歌で懇意となった方々にもいらしていただき、次第に広がりある受講者の面々となってきた。今回は原点に帰って、古典を題材として『伊勢物語』を丹念に朗読していくといった内容で実施した。和歌が人の心情の高まりを実に見事に切り取って表現する文学の粋たる存在であることが、この歌物語を声に出すと体感できる。「文字」を読むこと全盛の時代にあって、「声」による享受が優位であった時代の文学もあったことが実感として理解されてくる。序詞・掛詞・縁語などの和歌技巧を、知識として理解するのではなく、「音」から聴き取ることで、和歌に対する考え方も多様になる。「なまめいたる」「物語す」などの古語は、意味のみならず語音を味わってこそ物語の魅力も増すというもの。3時間の講座を受講者のみなさんとともに、文学の楽しさを実感しつつ過ごすことができた。
豊かな心を共有する機会
自分自身のためにも大切な時間
この地域の優しく穏やかな受講者の方々への感謝を常に忘れずに。
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