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地域が人を育てるとは

2016-05-14
道路を横断する子どもたち
会釈をし渡りきって振り返り「ありがとうございました」
県内どこでもよく遭遇する光景の秘密は?

現在の居住県に来て、一番感激したことが冒頭のような子どもたちの姿である。自動車を運転していて横断歩道前で一時停止し、子どもたちの横断を待ってあげると、大抵は同様な姿勢を子どもたちが示すのである。また居住する住宅地で見知らぬ子どもたちに出会うと、快く挨拶の言葉を掛けてくる。これもまた県内どこの学校に行っても、どの地域に行っても同じような姿勢の子どもたちに出会う。もちろん、例外が皆無などということを言わんとしているのではない。学校を始めとする地域ごとに、しっかりと子どもたちを育てている温かい環境があることを実感し、特筆しているのである。とりわけ東京という環境からこの地に赴任した僕にとって、こうした「地域」であることに大きな感激を覚えた。地域社会における教育は、地方にこそ根強く生き続けているということである。町にいる方にある子どもの名前を言えば、「あの家の・・・ちゃんだ」とすぐに分かるような、人間的な繋がりの濃厚な環境こそが、人を育てる上でどれほどに重要かが思い知られるのである。

教育実習で学生をお願いする地域の学校へ、挨拶回りを続けている。多くの学生がその学校の出身者であり、校長先生・教頭先生が当時のことや地域住民であるご家族のことをご存知な場合も多い。県内で大学のある地域に下宿などをして、学生は学びに来ている。その学生たちを地域に返すための「挨拶」をしているようで、あらためて地方国立大学の価値を教員として発見しているような日々である。各当該校の校長先生なども「後進を育てるのも私たちの仕事です」とおっしゃり、県内・地域の教育の将来を見据えていらっしゃるような力強いお言葉をいただく。大学では学生たちが理論的にも実践的にも、教員として「授業」「学級指導」などができるように育てている。その力が現場で活きるものであるかは、学生が実習を体験して学び取るしか術はない。僕も東京の中学高校で長い間教員をしていたが、これほどまでに実習生を送り出す大学側が、丁寧に挨拶に来校することは稀であったと記憶する。せいぜい指導担当の大学教員が、研究授業に来校する程度で、ましてや当該学生についてともに育てようといった意志を共有したことなど記憶にはない。これぞ地方大学の人間的関係が濃厚な特長といえるのではないだろうか。

車は止まって当然といった態度で横断する子どもたちでは
小中高大と経て再び教育現場に帰る地域の人間を育てるということ
横断する子どもたちに負けない優しく温かい教育環境こそ、地方大学の生きる道であろう。
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