自営業の矜持
2016-05-09
「先生はサラリーマンでしょ?」「いえいえ自営業です!」
安定ではなくやりたいように生きてこそ・・・
自宅近所に、懇意にするパン屋さんがある。彼の店は、保存料・添加物を使用せず手作りのパンが自慢である。ほとんど店主一人で切り盛りしていて、早朝から夜まで車で前を通っても仕事に勤しむ姿を眼にすることがある。先日パンを買いに行くと「GWは休めましたか?」と店主が言うので、「何だかんだと仕事をしていました。」と答えた。すると「結構、大学の先生も自営業みたいなものですね」と反応してくれた。研究実績を問われ勤務時間が決まっているわけではない。自分の裁量で仕事を発見し早朝でも深夜でも自分のペースでこなしていく。一定の枠内であれば非常勤講師や講演などの兼業も可能である。だがサラリーは一定しているのが、自営業との大きな違いかもしれない。とりわけ僕は、「サラリーマン」と言われるのが好きではない。決して「安定」だけを求めて、現在の職業に就いているわけではないからだ。
GW最終日、夜は近所の懇意にする料理屋さんに出向くと、これも懇意にする産直市場の社長さんが来店していた。GWが産品販売の大きや山場で、「母の日」にあたりカーネーションの販売もこの日までが勝負であったと云う。野菜を中心に生鮮食品を扱う自営業は、まさに仕入れや売れ行きに身を削る思いであろう。その社長さんが「先生は高級取り出しいいよね」というような趣旨のことを口走った。すかさず僕は「いえいえ自営業みたいなもので」と、僕自身の”構え”で返答した。すると本当の「自営業」の辛さはわからない筈だといった表情で、「(健康)保険には入れるでしょ」という答えが返ってきた。制度として確かに僕の職業は「安定」はしているのかもしれないが、世間が思うほど「高給取り」でも「時間に余裕がある」職業でもない。僕の場合は特に、現在の位置に来る迄に中高教員を自ら辞し、非常勤生活を経て至ったという過程がある。だいたい中高教員時代にも、実家近くのガソリンスタンドに行くと「夏休みが長くていいですね」と、いつも皮肉めいたことを言われるのが心外であった。自らが努力しただけの実績が問われる、されど自分が好きな研究を追究できる。今あらためて自営業的研究者としての立ち位置を、確かめるのである。
本当の苦労は相互に分かる筈もない
だが、僕は自営業であった両親の背中を幼少の頃から見てきた
組織に依存しありもしない「威を借る」存在が許せない、という矜持はあるつもりだ。
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