「叩き台」を練り上げる対話
2016-04-20
叩かれてこそ上質への道揉んで練り上げて新たな発見を
ゼミ発表により良き対話が生まれるために
前週はゼミの今年度の方針や方法を概説したが、この日から4年生の卒論題目についての発表を開始した。現行で4年生5名、3年生6名で僕を含めて12名を3分割して各4名の班を作る。1回につき発表者3名が、この各班を一巡し発表と質疑の対話を繰り返す。卒論題目という要点と方向性を示す内容ゆえに、発表は5分各質疑は10分、計15分3セットににおいて対話を繰り返すことになる。新しくゼミに入った3年生にとっては初めて4年生のテーマについて聞くことになるが、むしろ初めてだからこそ素朴な疑問を忌憚なく発言するよう促す。発表レジュメには、卒論の仮題目とともに50字・200字・400字の三通りの要約文を載せることとし、要点から具体性に至るまで、自ら文章にすることであれこれと模索してきた跡を叩き台として、ゼミという土俵に上げるということになる。
概ね前述のような形式で、ゼミ実施の方法を試みた。僕が学部大学院時代は、1名が発表者となり十数名でそれに対して議論をし、最後には先生がまとめの講評を述べるといった形式であった。実際に昨年までは僕のゼミでもこうした形式を採用していた。だが昔と違うのか学風のせいか、なかなか後輩が先輩に対して遠慮して意見を言わない傾向が否めなかった。なるべく僕自身も我慢して発言を控え、学生同士の議論になることを促したが、今ひとつ活発なものには至らなかった反省がある。たぶん時代や学風が新たな形式を要請しているのだと痛感し、絶対化した自らのゼミ概念を相対化し、より良い方法を採ることにした。4名のうちならば発言をしないわけにはいかず、素朴な質問を素直に投げ掛けられる。更には発表者も定められた時間内に効率よく三度の発表をすることで、次第に内容に「化学反応」が生じる自覚を持つ。まさに「叩き台」となった卒論テーマが、三度の対話を通じて揉んで練り上げられる。最後にゼミ時間中にどんな変化・発見があったかを発表者はコメントし、僕が講評を述べて90分が完結となる。丸型を勾玉型に二分割できる演習室の机を1セット講座で購入してもらったが、このような使用法に格好の設備となっている。
大教室講義型も含め
大学教育にも変化の要請が喧しい
有効な対話を醸成するために有効な方法を模索している。
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