「ラーニング・コモンズ」という空間
2016-03-30
学ぶ場は静粛なのが常否、語り合い相談し発表し合う
活動型学びを創造する空間
大学附属図書館運営委員としての出張で、京都は同志社大学を訪れた。目的は「日本最大級」を自称する「ラーニング・コモンズ」を見学することである。地下鉄駅と直結する「良心館」なる新しい校舎の2階3階に、そのスペースがガラス張りで透明性も高く設置されている。受付に申し出てビジター証を首から下げ、いざ見学へ。すぐ右手には「global village」と称した「日本語禁止区域」がある。春休み中で学生たちの積極的な会話の光景は見られなかったが、楽しみながら外国語の活用を学べるオープンな場として有効だろう。その隣は「プレゼンテーション・コート」と表示してあり、円形状のスペースの四方にホワイトボードとプロジャクターが設置されている。人数に応じて自由に椅子の設定はできて、ゼミ単位やら60人ぐらいまでなら小さな発表会が開催できそうである。更に奥に進むと、勾玉型の机が2つ合わされて液晶画面が設置されている「グループワークエリア」があり、天井吊り具も設置されていてポスターセッションもできる。その先は「インフォダイナー」と名付けられ、ファミレス風ボックスとプロジャクターが設置され、白板に投影した内容にマーカーで書き込みもでき、学生同士がリラックスして打ち合わせが可能である。確かにファミレスで学習に勤しんでいる学生を、全国どこでも見かけるものである。他に特筆すべきは、畳状の座卓があり掘り炬燵風になっていたり、児童館のようなソファーが設置されていたり、「お行儀よく」背筋を正して静粛に学ぶ姿勢というのが、過去のものになりつつあるのが感じられた。(もちろんこれらは、米国の大学を範にとして設計されているのであろうから。)
見学していると事務員の方が声を掛けてくれて、3階で先生がお待ちですと言う。事前にアカデミックサポートエリア勤務の助教の先生に、連絡をとっておいたゆえである。そこでは個人やグループが様々な知的探究についての相談ができるスペースで、1人30分を限度に対応していると云う。レジュメ・レポート・論文の書き方など「教えてもらう」のではなく相談し対話することで自己を相対化する作業により、自ら気付くという方針のようだ。助教の先生曰く「魚を獲ってあげるのではなく、魚の獲り方を教える」ということ。初年次教育との連携やゼミ・講義との連携を進める先生方も積極的にこの場の活用を促しているらしい。するとやはり学生のアカデミックライティング能力は高まっているという成果が見えてくると云う。そこには院生のチューターも常駐していて、彼ら自身の「教育経験」実績にもなり、相互に有効な活用が期待できるとも。そんなお話を助教の先生は談笑を交えながら通常の声でエリアの中心部で語ってくれた。僕などは学生時代からの癖で、こうした学習エリアに来ると「ひそひそ声」になってしまうが、どうやら声を出してよい雰囲気であるのが、新しい学習エリアたる所以でもあるようだ。その後も暫くは様々なエリアを見学して、自らの大学では何からできるかを模索する時間が続いた。
夜は大阪府の高校国語教員の方々と懇談
その折の話題はまたの機会に記すこととしよう
鴨川の風に吹かれ、坂本龍馬気分と浮かれた宵のうち。
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