非合理と義のあり方を問う
2016-03-28
前近代的判決方法建前ではなく義を重んじること
非合理や理不尽とどう向き合うか・・・
大河ドラマを、今年は欠かさず視ている。主演の堺雅人さんが、現在の居住県出身で親しみがあることや、幾つかの要素に魅せられている自分を発見すること自体が面白い。かねてから主役の真田信繁の幼馴染の女性「きり」(配役:長澤まさみ)の時代考証を無視するかのような現代語での台詞と、その理不尽ともいえる行動に対して嫌悪感を抱いていたが、その拒絶感そのものが魅力になってることにも気づいた。もとより時代考証を施したとて、どれほど正確に当時の会話を再現できているかという合理性よりも、「現代劇」としてどう楽しむかという観点の方が視聴者にとって重要なのだと気付かされた。特に「教師」というものは、作られた建前であるにもかかわらず、それを疑いもなく「義」だと信じ込み、そして教える対象に信じ込ませるという、実は前近代的な言動から離れられないことに自覚なき人たちなのかもしれない。如何様にも「正解」にこだわるのは、その証左といってよいだろう。
この日の放映では「鉄火起請(てっかぎしょう)」なる如何にも非合理的な判決方法を、「神の判定」だと疑わない奉行が、漁業権争いをする南北の漁民たちに施す場面に、上杉の人質となっている信繁が遭遇する。両者が熱く焼けた鉄を掌上で離れた場所にある皿まで運び、火傷の少ない方が「神が認めた勝者」だとするものである。怯える漁民たちを見兼ねて信繁は、「奉行と私でまずこの方法が妥当がどうかの判定を仰ごう」と身を危険に曝す。すると「これが伝統的な正しい判定」だと漁民たちに豪語した奉行が尻込みし漁民たちに「いま少し話し合ってはどうか」と態度を一変させる。誰も傷つけることなく事態を打開した策略を目の当たりにした当地越後の領主である上杉景勝が、漁民たちに真の「義」を施す行動をとるべきと心を動かす。上杉謙信公の「義」あってこそ越後は、直江津・柏崎・寺泊と漁港が栄えたとする景勝が、真に領民のための「親方さま」として自覚を持つという場面が描かれた。もちろんこれで真田家が上杉と親交を深め、強大な徳川と対抗する後ろ盾を得たという設定だ。「非合理」なものを盲目的に「義」だと信じ込ませる前近代的な発想に、我々も陥っていないかと考えさせられる内容であった。
綺麗に咲く花が合理的に用意されているわけではない
これから咲き誇る木々を想像する心の余裕も人として肝要だ
非合理と義において正負の両面を見るべきと考えた休日。
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