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ひとり寄せる波音聞いた

2016-03-22
閑静な自宅近く
夜耳を澄ますと
波音が聞こえてきた・・・

海岸線からは約4㎞、海抜にして15mの高台に僕の自宅がある。赴任に際し現在の居住地に引っ越す折に、土地の状況や歴史をこと細かに調べた。この台地の両側には川が流れ、その水の恩恵により一面肥沃な農耕地帯が広がっている。この地域で収穫された野菜を産直市場で購入しているので、まさにコンパクトな地産地消、食料自給率の高い生活といえるかもしれない。その一方の川に近い辺りに神社があったが、江戸時代の大地震に際しての津波で流され、今は僕の居住する地区に移築されている。町名に一致しない神社の存在が、僕が現在地に居住している大きな理由でもある。もちろん大学もその台地を開墾し広大なキャンパスが造成されているので、通勤時間が極めて短いという理由も大きい。

そんな住宅環境ながら、海風を感じることがある。この日は、夜遅くに近所の店から自宅まで歩くと、ふと波音が聞こえてきたように思った。閑静であるというのは、こんなにも音を透過させるものかと、数年居住していながら聊か驚かされた。それはもしかすると、僕の心の内と共鳴し合った音なのかもしれない。黄昏時に海岸まで出向き、しばし海辺を歩いた。春分の日を過ぎ陽も長くなり、穏やかな風が頬に優しく吹き寄せた。東の空には白く淡い月が上り、西の空には春の陽が沈みゆく光景。其処に絶え間なく寄せる波の音と力。自分が天体のある一面に立ち、その生命力を感じるかのような時間が流れた。次第に心は落ち着きを取り戻し、活力が湧き出るようであった。その後、海から聊か高台に上がった休養村にある公共温泉に浸かると、既に月影は湯煙の向こう側で逞しい姿に成長していた。

夕餉は馴染みの店で四方山話
この地をこの海をどう愛して生きるかということ
自然も人事も波動の如く寄せては返すことを、あらためて悟る宵の口であった。
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