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地域における文化芸術活動の展望

2016-03-20
文化芸術活動体験の格差
学校に豊かな情操教育を平等に
子どもと教師と地域の人々で創るために

〈みやざき「子ども体験フォーラム」2016〉が開催され、午前中は関係者によるワークショップ、午後は基調講演に続き、シンポジウムが開催された。僕も朝からすべての日程に参加し、シンポではパネリストとして登壇した。産官学の様々な立場の方々に加えて当事者である現場の小中学校の教員や、地元の劇団員の方々など、まさに異業種間交流の趣旨で会は展開した。文化芸術活動の体験には、やはり先立つものが必要となる。諸々の分野の芸術家への派遣要請をする謝金や交通費なくして、活動は成り立たない。豊かな情操を育てるためと教育行政上でも唱われてはいるが、実際に芸術活動にどれだけの運営費や人的資源が必要かなど、その理解は至って乏しいのが現実であろう。よってNPO法人や子どもの支援団体などと大学と学校現場とが、上手く連携して芸術家との仲立ちをしたり、また芸術そのものを地域で創造する活動を進めなければならない。それはお題目だけでは叶うはずのない、人と人との繋がりや努力によって成り立つものであることが、この日もあらためて確認できる結果となった。

基調講演では、福島県いわき市で文化芸術活動に携わる大石氏が「もう一つの学校プロジェクト」について熱く語った。地域社会のあちこちに、子どもたちのために「別な生き方」を用意してあげるということ。其処には免許を持った教師はおらず校則もなく、身体感覚と価値観の構築が自由に掲げられている。学校と家庭に任せて何とかなる時代は終わり、周囲のすべての大人が、遺伝子や個人的なことを度外視して、子供達を育てる義務があると大石氏は云う。そんな「苗床」ができてこそ子どもたちは生き生きと育ち、正解が一つではなく鑑賞した数だけの成長があり、自己承認へと繋がる環境ができあがる。さすれば、たとえ大震災などが起きたとしても、地域で人々が助け合える強靭な環境が醸成されるというのだ。その後のシンポジウムでは、実際に僕自身がこの2年間で体験してきた芸術家との協働活動の現状や問題点を述べた。受け入れる「学校」とそこにいる「教師」の姿勢、芸術家派遣がもたらす教科教育や学校生活での効用、より地域に密着したコンパクトな人間関係でこそ根付く運営の融通さ等々、問題点と今後への展望を述べつつ僕自身が更なる活動への姿勢をあらためて自覚する内容となった。大学や大学教員という存在が、大きく上から構えていて成り立つ活動ではないことをふまえて、次期の活動へ希望を見出したいと思う。

お金・人・豊かなこころ
大都市ではなく地域でこそできること
夜の懇親会であらたな構想がまた立ち上がったのであった。
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