常連「chemistry」の効用
2016-03-09
いつもの処常連たるや如何なる流儀で
それが活力になるのが「chemistry」
「常連」を辞書で引くと「1、いつもいっしょに行動する仲間。2、ある場所にいつも集まっている人。特に、興行場、酒場などでいつも来るなじみの客。常客(じょうきゃく)。」(日本国語大辞典)とある。最近はもっぱら前掲2の意味で使用しがちであるが、「興行場」や「酒場」での「仲間」のことを指して言ってもよいわけである。「いつも(その店に)集まる仲間」といった趣旨から、店の信条や飲食の質感・雰囲気などを選りすぐって来店することで、結果的に1のような意味になると考えておけばよいのかもしれない。店と人は密接にその嗜好が合致しているのだと思うことしばしばだ。この日もたぶんこの曜日には、その方がいらっしゃるのではないかという「常連さん」にお会いすることができた。僕の諸活動にいつも注目していただいており、その刺激を自らの活力に転化できるのだと彼は閑かに語った。考えてみればそれは店という美しき器がもたらせる「chemistry」ではないかと、僕は昨夜、彼に返答した。
「chemistry」とは、一般的に「化学」とか「化学的性質・化学反応」と訳されるのだが、口語表現では「(人と人との間の)相性・共通点」という意味があるとランダムハウス英和大辞典(小学館)に教わった。メジャーリーグの僕が贔屓にするチームが優勝争いの最中に「(チーム内の)chemistry」を重視するといった趣旨で使用されたことが印象的であった。人と人との関係性はやはり「化学反応」のような性質がある。それが良質なる「正」なる方向に反応すれば「共通点」となるであろうし、悪態なる「負」の方向に反応すれば「相性」という意味に留まり、純然たる器を汚しかねない。敷衍して考えれば、研究や学生の学びの上でも「正」の「chemistry」があるや否やで、そこに集った人々の成長に大きな変化が生じるはずである。研究学会でも小さな研究会でも、大学の講義でもゼミの内部でも、音楽仲間でもお店の常連でも、この「chemistry」が良質に作用する「仲間」を持つことが、生きる上での大変重要な鍵を握るといっても過言ではない。
良質な器とそこに集いし人々との相性
相互作用への信念や思いは多様なれど
「chemistry」日本語の適訳が見当たらないのにも訳があるのかもしれない。
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