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空より花の散りくるは

2016-01-25
「冬ながら空より花の散りくるは
 雲のあなたは春にやありける」
(『古今和歌集』330 清原深養父)

極度な寒気が日本列島を南下して、九州・沖縄地方までを覆うような天気図となった。地方番組の報道でも、各地で積雪の便りが聞かれる。そこで当方の居住地はというと、平野部に限っては唯一、積雪がなく晴れ間も覗く天候が続いた。これがまさに地理的条件とでも言うおか、太平洋に直接面する位置によって、海流や風の影響を受けるのと同時に九州中央部の山地に遮られて、雪が降りにくい気候となっているのだろう。この日は、奄美大島でも100年以上の時を経て、みぞれが舞い散ったと云う報道もあった。となれば当地でもと思っていると、晴天の雲間から「空より花の散りくる」といった和歌の一節を口ずさむ趣に遭遇することとなった。

当地に赴任してから、一番の寒さであることは間違いない。家の中であっても、かなり狭い範囲に限定して暖房を効かせないと寒い状況が続く。暖かい蒲団の中が、誠に恋しい休日であった。夕方には至近の公衆温泉に出掛けて、身体を芯から温めた。更にはストーブ上で長時間を費やし
「おでん」を煮込んだ。まさに「冬ながら」の風情を楽しみながら、寒中の休日を過ごす。それでも日の入りはだいぶ遅くなり始めて、立春が遠からずやって来る。スポーツキャンプのメッカであるゆえに、既に自主トレを当地で始めている選手もいると云う。球春も間近に迫っているのだ。まさに「雲のあなたは春にやありける」(雲の向こうは春だからだろうか)という歌が適しており、「雪」を「花」に見立てる情趣を実感するのであった。

農作物や漁獲高はどうなのだろう?
などと懇意にする方々の日常にも思いを馳せる
ことばを以ってして季節を味わい尽くしてみるのである。
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