地方・地域と文学・短歌と
2016-01-10
地域貢献の公開講座郷土に根ざした短歌会
文学で人を繋ぐ地方創生・・・
新年を迎えて間もないが、年度ごとで実施しているゆえ最終回となる公開講座。本年度は6回中4回はゲスト講師を迎えて開催したが、最終回は受講者が朗読して「味わいを深める」趣向で実施した。小中高校での学習活動でもそうであるが、受身で聞いているだけでは「学習」にはならない。学習者が能動的に読んでこそ、内容が腑に落ちることになる。そして「能動的」を適えるには、「意識的な表現」としての「朗読」が有効な方法であると考えている。この日は、何篇かの詩を提示し「自ら表現したい」ものを受講者の方々に選択していただいた。〈学校〉では教材そのものの選択にも「自由」があまり認められないのだが、まずは自らの「意志」で選択することから「意識的な表現」への意欲が高まると考える。そして組み合せでグループになった方々で約30分ほどの話し合いを実施、「詩の群読」として発表できる素地を創る。休憩を経て、15分間で実際に声に出してリハーサルをし、いざ発表となる。すると「活字に込められていた詩」が各グループが表現した「声」によって、命を注入された如く活き活きとわたしたちの前に立ち現れた。まさに「音読・朗読」の効果を理屈で語るより、能動的活動を通してこそ理解できる内容を実践できた。特にこの日は、遠路遥々と地域外からも受講していただいた方もいらした。その熱い「志」に応える嬉しさを、こころから感じる時間ともなった。いずれこの受講者の方の在住地域でも、ワークショップができればと再会を約束した。
公開講座を終えて、自宅で和服に更衣し地域で開催される短歌会の新年会へ。既に時間が重複して短歌会は始まっていたので、新年会からの参加となった。それでも尚、ご参加の方々の詠草の歌にある思いを聞くことができ、また今年の抱負の窺い知ることで、僕自身の短歌への思いもあらためて高めていただいた。昨年12月、学部時代の恩師の旧蔵資料展観と講演会・懇親会が実施されたことは小欄でも紹介したが、その折の心情をもとに僕はこの日の詠草に投稿していた。様々な「歌」への思いが相俟って、今年も古典和歌研究はもとより近現代短歌の読みや創作に更に精を出したい気分が高まっている。そして何より郷土の歌人・若山牧水に関連して古典和歌を見つめて行く視点についても、論考となるよう実現したいと決意をあらたにした。二次会にまで及び牧水の愛した酒とともに、温かいみなさんとの交流が楽しめた。この会における「試運転」もよろしく、僕も今年は更に精進し短歌会に臨もうと思う。
経済だけが地方創生にあらず
文学を愛する豊かなこころで人と人とが繋がること
牧水が愛した自然の豊かさは今もここに息づいている。
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