ぶつかったっていいんだ

2015-12-12

盲目の方に「通勤は困難では」と問い掛けて
「まわりのものにぶつかりながら歩いてますから大丈夫です」の答え
吉野弘『詩のすすめ 詩と言葉の通路』(思潮社 詩の森文庫 2005)より

飛行機内で読書をしていると、冒頭のような文章に目が止まった。来週の公開講座に備えて、詩人・吉野弘の詩に対する考え方を知っておきたかったのが選書の理由である。吉野の詩は、何気ない日常を詩によって明晰に言葉として捉えて、物事の本質に迫る視点を僕たちに提供してくれる。だが冒頭に記した「ぶつかる」という言葉は、なかなか詩にしづらい言葉であると、同書の中で吉野は述懐している。健常者は、無意識に「ぶつかる」ことを「過ち」と捉えて、それを回避することばかり考えているのかもしれないと、僕自身を見つめ直して再考した。盲目の方は、身体感覚をむしろ最大限に敏感にして、道を歩いているということ。僕たちは、些細な「過ち」を恐れすぎているのかもしれない。

友人からのメールにも、こんなことが記してあった。何事かでやるべき道を誤ってしまったら、全力で戻ればいいだと。すると誤る前よりも足腰が強くなっていて、以前よりゴールが近づいているというのだ。そう!僕たちはいつしか「学校」で、「間違ってはいけない」ことばかり叩き込まれてしまい、「間違っても戻ればいい」ことを忘れているのではないだろうか。世間の荒波に「ぶつかって」みてこそ、生き抜く足腰が強化されるのであろう。「ぶつかる」ことを恐れずに、寄り道したり、その時は意味がないとか無謀だとか思えることに遭遇してこそ、生きる力が醸成されるのである。人生は決して一筋縄にはいかない。荒波があってこそ、波乗りが楽しめるといった感覚も必要なのかもしれない。東京で親友たちとの密度の濃い話に興じて、あらためてこんなことを考えた。

自分はいま何処にいるのか?
そんなことを過去の定点から観測することも必要だ。
今回の東京では、そんな人たちと数多く再会できそうである。
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