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プロトタイプで突っ走れ!

2015-10-29
試作を現場で実践してみる
様々な長短所が見えて来る
現実的な問題提起をせずして進歩なし

嘗て自動車のラリーが好きだった頃があった。ラリーにもいくつかの種類があり、「WRC」といって世界各地を転戦して年間総合成績で競うものが有名だ。各地の特徴を活かした悪路を走るのだが、自然の過酷さと対決するというよりも、車の性能とメーカーの威信をかけたスピード合戦といった様相がある。それに比べて通称「パリダカ」というアフリカの大自然の中を走破するラリーに、むしろ僕は惹かれていた。パリからアフリカ西海岸のダカールまで、壮絶な距離を過酷な自然の関門を何度も越えて走り切る。リタイアする車も多いのだが、部門も四輪・二輪・トラックといったカテゴリーがある。もちろん競技に参加しているのと同時に、トラックは最先端を走る「プロトタイプ」と呼ばれる試作車のサポートをし、開発したメーカーの次世代の夢を支える存在でもある。そんな理念の冒険的開拓の意味をもったラリーに、僕はある種人間としての憧憬を抱いていたのであろう。

さて、附属小学校6年生の児童を対象に、僕が研究授業を実践した。小学校6年間で「音読・朗読」の学びはどのように蓄積され発達して来ているのか。小中一貫も視野に入れて、その接続点でどんな学力として確認しておいた方がよいのか。このような問いを実際の授業で展開する、まさに試作車走行のような内容であった。一次言語(音声)から二次言語(文字)に移行する低学年の頃に身に付けたことは、意識化されているのか。「文字」を使用しない「ことばあそび」を体験させることで、無意識を炙り出す試み。「響き」の内実は何かを可視化(体感)するために、手拍子を打ちながら詩を読む試み。教室全体を左右に分けて「聞き合う」ことで、音声から内容を理解し、更に黙読をすることで「自分が心の中で読む声をもう一人の自分が聞き合う」といった試み。2人1組となって、相手に分かるように音読し合うという活動。そして4人1組で詩に対する感想を短いコメントにまとめ、その「思い」を他者に対して伝えるには、どのように朗読したらよいかを考案し発表する活動。ざっとこのような授業を試案して実践した。まさに「試作車の如き走り」になったわけで、全てが潤滑に走れたわけでもなく、不具合を生じる箇所も散見され、自分自身ではまったく納得のいかない授業となってしまった。されど、それでこそ研究者教員が実践する「授業」なのだと自分で着地点を見つめる検証が、今後求められるのであろう。

安定した走りをするのが目的ではない
より高度で効果的な実践を開発すべく走るのだ
嘗てパリダカを制覇した車は、日本でも一世を風靡したことがあったのだから。
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