好きなことをやるのと迷惑な思い込み
2015-09-14
「私たちは正しいから正しい」という詭弁に終始片や念入りな調査と憚るべき壁を越えた理性ある対論
与野党緊急討論番組で閉じた学会2日目の晩
研究学会で発表を聴いていると、どこからともなくこんなことを調べたいとか、こんな論を打ち立てたいなどという”野望”が湧き上がって来る。自分とは違った時代や方法の発表から刺激を受けることもあるが、同時代の近接した分野で、実に力を秘めた躍動的な発言に出逢うと尚更である。これほどに思い切った物言いができるには、それ相応の蓄積あってのこととは知りながら、当の発表者ご本人においても過去には「胃の痛い思い」を重ねていたと吐露することばに接する。すると己の未だ足らざる茨の道での行脚が、甘さの限りであると悟られても来る。その上で、やはり己の本道とは、「好きなこと」をやることでしか先に進まないのであるなどと、今更ながらの原点回帰に眼を開く機会ともなる。学者が論理性をもって議論する内容は、決して恣意であってはならず、その厳しさをもってこそ、どのような分野であろうとその社会的意義の大きさを思うのである。
2日間、聊か冷房で冷えた教室でシンポジウム・研究発表を聴いていると、それなりの疲労感に襲われる。見知らぬ街角で暖簾をくぐり好きな中華料理に食指を伸ばし早目に宿に籠る。早々に寝込もうと思いきや、安保法制の緊急討論と題し与野党代表の顔ぶれが画面に映し出される。この期に及んで、これまでの破綻した政府国会答弁の縮図のような様相をあからさまに見せつけられる。たぶんこの与党代表者のような答弁は、研究学会では一蹴されてしまうのは明らかだ。だいたいにして殆どの憲法学者が「違憲」としている状況を、「我々は正しい」といって危機感のみを煽り立てているのであるから。好きなことをやるのと迷惑な思い込みは違うということを、十分に思い知らされるという意味で、せめて反面教師の役割ぐらいはしてはいるのだろう。この討論番組をどのようの観るかというだけで、知性のあり方が露わになるように感じられた。もはや「廃案」しか道はない。
研究は孤独な所業だ
それゆえに己を起ち上げて前進できる
力を秘めた躍動的発表、同窓の先輩の姿勢に勇気を貰う。
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