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南部陽一郎さんを悼んで

2015-07-18
ノーベル物理学賞同時受賞の益川敏英さん曰く
「(南部さんは)論文をしゃぶりつくすように読む」
根源的テーマを追い続けた南部さんを悼んで・・・

ニュース映像で益川さんが、南部さんの訃報に接し悲しみのあまり顔面を紅潮させて語っていた。その言葉の中で僕の心に甚だ響いた一節が、冒頭に記した内容だ。「しゃぶりつくす」とは、食べ物に対する表現として一般的である。僕も最近は、魚料理が特に好きになり煮魚などの場合は、骨まで「しゃぶりつくす」のが愉悦となってきた。「もう食べるべき箇所はないだろう」と思い込みつつ、魚を反転させたりすると、思わぬ骨の裏側に実に美味しい部分が残されていたりする経験もしばしばだ。つまり真に美味しい箇所というのは、簡単には見えない場所に潜んでいるのかもしれない。物事を形成する骨格周辺にこそ、実に巧妙かつ繊細に動くことで鍛えられた栄養源が存在するのだ。

益川さんが南部さんの研究姿勢を「しゃぶりつくす」と表現したことで、この魚を食する態度と、研究への姿勢には共通点があるのではないかと思わず考えた。果たして自分自身は他者の論文を「しゃぶりつくす」ほどに読んでいるのだろうか?という自省が心の中に巣食った。実は骨の奥に潜む一番肝要な栄養源を、惜しくも発見することなく摂取していないのではないか。翻って自分が論文を書く場合でも、「もうこのくらいで大丈夫だろう」という”地点”に到達することがあるが、実はそこからが真髄へ向かう扉なのではないか。煮魚を「食べ尽くした」と思ったところにこそ、真に美味しい部位の発見への入口がある。益川さんの南部さんへの評価は、こんな意味合いを含んでいると僕なりに解することができた。

「モノにはなぜ質量があるのか」
根源的な問いを持たずして考究への道は開かれない
20世紀の物理学を牽引した南部陽一郎さんのご冥福を心からお祈りする。

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