「7月6日は・・・」記念日はいつでも
2015-07-07
朝一番車載ナビが「今日は・・・」と語るこの日が「サラダ記念日」とは嬉しい限り
いつでも己の中で心に残る一幕を記す思いで
俵万智さんの『サラダ記念日』は、彼女の第一歌集名でもあり、その元となっている短歌が「7月6日はサラダ記念日」という下の句なのは、あまりにも有名だ。「この味がいいねと君が言ったから」という恋人からの素朴な褒め言葉に感激した心を、三十一文字に詠み込んだ現代の名歌である。公立高等学校教員であった俵万智さんが、歌人としての人生を歩むようになった、まさに記念碑的な歌ともいえる。この歌が”名歌”たる所以は、何でもない日常の1日を「記念日」と称して大切な日と位置付け言葉として紡ぎ出したこととともに、恋人の言葉そのものが語られる臨場感ある恋歌となっていることだろう。日常にある恋の心情を歌に詠むのは、まさに日本文学の伝統でもあり、それを現代版恋愛ドラマの一幕のように格好よく仕立てたのが、この歌がここまでの評価を得た理由だと思う。現代の高校生も大変深い興味を示すのは、先月の出前講義であらためて実感したところだ。
「今日」という「1日」をどう生きたか?というのは、日常の喧騒の中で思いも止めないことも多いのだが、よくよく考えてみれば人生とは「1日」の連続に他ならない。健康に起床できた「今」に感謝し、自らの脳内にあることを言葉として紡ぎ出す。まさに小欄のこの文章を書き込んでいる僕というのは、そうした「1日」を大切にしたいという思いから発したものである。「今日」が「幸せ」であると実感できるように、また過ぎ去った「昨日」とどのように繋がって行くのか、更には来るべき「明日」への連結器のような位置付け。先日何かで眼にしたのだが、老齢の方々が日々の大切さを実感するには、大仰な文章ではなく思い付いた言葉をたった「3行」で毎日書き付けてみるとよいと云う。詩や短歌などと構えずとも、心に浮かんだ言葉でいいのだ。それを翌日に今一度己が読むと、「今日」という日の大切さと「自分」が実感できるというもの。僕も「1日1頁」方式の手帳を使用し始めて6年目となる。
人は「今」しか生きられない
ゆえに毎日が「記念日」だったならば
「七夕」のみならず様々な思いが今日も駆け巡る
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