初物を喜ぶこころ
2014-08-22
今、その今を満喫しているか夏、その夏が歩みを速くし始めた
初物をいただいて思うには・・・
季の逡巡を捉える感覚は、時代でまた個人で差があって然りである。夏はいつから始まりいつ終わるのか。暦の上の理屈よりも、人それぞれの”生き方”が、そこに境界線を設けることになるのだろう。いま「境界線」と表現したが、それは明確に引ける線があるわけでもない。日々、何かが変化し続けるゆえに昨日よりも今日、今日よりも明日には新たなる発見があるものだ。
蝉の鳴き声に変化が見え、風の囁きが優しくなった。こうして文章を綴る部屋の網戸に一匹の蝉がしがみついている。鳴きもせず動きもせず。その幼気な姿勢に「夏の進行速度」を感じ取ったりもする。近所の馴染みの店でも、夜に客が出入りすると戸口から灯りを求めて蝉が舞い込んだ。人工的な照明に「夏」の明るさと暑さを求めたのであろうか。電灯周辺を飛び回り、やがては天井に張り付き静止した。
動と静。その刹那の変化のうちに無常あり。季の巡航が人の心を捉えて止まないのは、こうした虫にも擬人的に心を見出そうとするからだろう。そんなことを考えつつ、店では今季初めての「秋刀魚」を食した。その焼かれた香ばしさ、独特の味わい。形状とともにまさに「秋」の「刀」のような「魚」なのだ。今の時季は「北海道で水揚げされた」というが、まさに「秋」が北からやって来た感覚である。こうしてこの夏を惜しみなく見送る準備が整い始める。
夏はいつも早歩きだ
その速度に前向きさをいただき
秋が目覚めようとしている
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