自ら感激できる味を
2014-05-23
料理を作り客に奉仕する文章を書き読み手に提供する
客や読み手の立場で感激できるかどうかということ。
仕事柄、様々な局面で様々な種類の文章を書く。読み手が限定されている場合もあれば、不特定多数という場合もある。事務的な文章から個人的な書簡やメールに至るまで、多彩に内容を使い分ける術が、いつの間にか身についている。もとより、それが僕のプロとしての重要な仕事であると自覚する。
近所の懇意にする料理屋さんで、店主と語る。自分で作った味噌汁の出来が、大変上々であったという話題になった。魚だけを出汁にして、丹誠込めて繊細な感覚を働かせて作った一品だという。店主自らも僕と席を並べ、その味噌汁を味わった。調理場で「味見」をするのとは、まったく違った「舌」で味わえると云う。料理の基礎ともいえる素朴な味噌汁であるからこそ、自らが感激するほどの味を出すのが、料理人としての「信念」であると彼は語った。
そういえば時折ではあるが、僕も自らが書いた文章に感激し涙腺が緩むことがある。繊細に生活の中で感じたことや、文学に関わることで生じた心の襞を、文章として書き付けておくこと。それは、まさにどのような出汁で、どの程度煮込んで、どのように味噌を配合するかという過程と同じような感覚が問われる。活字化されるような場合は、吟味に吟味を重ねて文章を書く。はてまた日常生活の中で、素朴な「味噌汁」に該当する文章を記すこともまた自らを鍛えるものだ。
単なる「生業」ではない
「信念」「こだわり」のある仕事
自ら「美味しい」と感激できる味を出したい
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