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季節外れの蜂の一刺

2014-02-16
「蜂の一刺」という成句を体感した。
意味をあらためて確かめてみると「命を賭けた決定打」という語感。
世俗的には「ロッキード事件」の際に首相秘書官夫人の証言が、
「決定的」に裁判を左右したことから流行語にもなったという。
蜂は人を刺すとそれで死んでしまうのか?

土曜ながら仕事があり夜になって疲れた身体を癒そうと、近所の馴染みの料理屋に気軽に出掛けた。徒歩数分で店に到着し、カウンターのいつもの席に着く。おしぼりを出してもらい、手を拭いた直後、左足の付け根あたりのジーンズに何らかの”物体”があるのに手が触れた。「何だ?ゴミか」と思いよく見ると、それは黄色味がかった蜂であった。「蜂だ」と声をあげて店の奥さんにも確認してもらう。活発な動きもしていないので、そのままの状態で店外に出た。そこで上に着ていたニットカーディガンを振り下ろすようにして蜂を払おうとした。するとむしろ蜂は上に向かって攻撃的となり、カーディガンを上げていた下のシャツ越しに僕の脇腹を一刺した。チクリという感触を得て「やられた!」と思ったが、そのままひるまず、更にニットで叩き落として蜂は地面に落下した。

そのまま店内に戻り、「蜂に刺された」と言って”患部”を確認した。衣服越しゆえ針は残っていないようだが、赤くなって今にも腫れ上がるような状態。「どうしたらいいだろう?」と店の奥さんに話すと、来店していた年配のお客さんが「焼酎で消毒すればいい」という。それでとりあえずのアルコール消毒による応急処置を行った。それにしても初めての経験ゆえに不安も大きい。放置して酒を呑んで、脇腹が二倍ぐらに腫れたらといった”想定”が脳裏を駆け巡る。更には刺されるにしては特異な部位でもあり、蜂の種類によっては危険が伴うはずだ。ほとんど大丈夫だという確信はもちながらも、大学附属病院の救急外来に行くことにした。

時間外受付に行くと、救命救急の医師は現在急患対応中で診察には暫く時間を要すると云う。それでもなお休日だけに、ここが一番よいだろうと思いソファで待つ。(だいたいにして、勤務先の大学附属病院であるから)思いの外早急に、看護師と救命救急師が処置室へと導いてくれた。患部の確認・血圧・脈拍測定・心電図装置の設置などなどの救急対応を施してくれた。(どうやらあとから医師に聞いた話だと、刺されて30分程度でショック症状が出る場合もあると云う)その上で、「息苦しさや腹部の痛みはないですか?」と問われた。やや気持ちが動転していたので心拍数が上がり気味なのと、こうした病院処置室特有の雰囲気に呑み込まれて、若干の(精神的な)息苦しさを感じると伝えた。だが暫くして血圧や脈拍は正常値に落ち着いた。

暫くして医師が「遅くなって申し訳ありません。」と言って処置室に駆けつけてくれた。患部の状態やを看た上で、「アレルギー症状はありますか?」といった類の質問を繰り返した。刺されてから1時間半ほどの時間が経過していたが、特に目立った変化も見られなかった。医師の説明によると、30分から24時間以内に「アナファラキシーショック」というアレルギー症状を起こすと、命に関わる場合もあるという。今のところその兆候は看られないので、塗布薬とアレルギー薬を処方しますという治療を丁寧に説明してくれた。その上で、夜中に「息苦しさ」などの症状が出たら、自家用車ではなく救急車ですぐにこちらへ来て下さいという。まだ予断は許さないと思いながらも、一安心ということになった。看護師さんが実に親切に処方された塗布薬(飲み薬は効能等の説明を受けた上で、自分の選択で処方してもらわなかった。)を薬剤部から持って来てくれた。

それを手渡されて僕は一言、「今晩、食べ物で注意すべきものはありますか?」
看護師さん「いえ、特にありません。」
僕は更に「聞きにくいのですが、アルコールは飲んでも大丈夫でしょうか?」
看護師さん「アルコール自体は大丈夫ですが、深夜にショック症状が出た時に自覚しずらくなりますので、できれば避けて下さい。」と笑顔での返答。
「わかりました。ありがとう。」
看護師さん「念のために救急の直通電話のメモをお渡ししておきます。」
といった親切な心に見送られて病院をあとにした。

その後の行動は、本日ここに記すことは控えるが、
いまこうして小欄に文章を書き連ねている自分が、
存在しているのは確かである。

「蜂の一刺」
動植物との共生、そして生かされている命。
あの蜂が刺した意味は何だったのであろう?
偶然以外の何ものでもない出来事に、
やたらと捏ねくり回して意味付けを施そうとするのが、
人間の性(さが)なのかもしれない。
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