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野球少年の心意気

2014-02-12
早朝から球場へ向かう。
長蛇の列の先頭付近に陣取る。
自由席で最良の場所を確保する。
飲食よりも野球に集中する。
何がどのように凄いのか見極める。

僕が野球少年だった頃、肝に銘じていたことを羅列した。後楽園球場まで、自宅(実家)から自転車で15分程度であったためこのような行為が可能であった。始発電車が走り出す前に球場に到着すれば、まだ自由席に並ぶ人も少なかった。長い時間、本などを読みながら待つことになるのだが、列の周囲の方々と”友好関係”を結ぶと、トイレなどの際はお互いに荷物を見守ったりすることが可能になる。当時「こども¥500」であった外野自由席で良い席を確保する、少年としての流儀であった。

持ち物も携帯用の椅子・ビニールシート・携帯ラジオ・双眼鏡・グラブ等々。次第に観戦に必要な用品が、バック一つに常に装備されるようになった。あまりに暗いうちから自転車で街を走るので、交番で停められて「どこに行くのか?」と質問されたこともあった。それでも自転車の「泥除け」部分に書き込まれた住所・名前をスラスラと諳んじて目的を言えば、お巡りさんも笑って「気をつけて」と送り出してくれた時代だった。

時には球場に行くのが出遅れて、「満員札止」となってしまうこともあった。諦め切れず外野席の入場門近くに立ち尽くしていると、場内から見知らぬおじさんに門の柵越しに声を掛けられて、「君もし一人ならこれをあげるよ」と余った「こども券」をもらったこともあった。当時はまだ規制も緩く、試合終了と同時に外野フェンスからフィールド内に飛び降りてどこまで行けるかという”ダッシュ”を何度も試みた思い出がある。警備員との競争でなかなか二塁ベースまで達する輩は稀であった。それほどまでして観たい”野球”があり、そして選手やグランドに生で触れたいという願望が強かった。

そんな野球少年の心意気を、久し振りに思い出した。勤務地から至近な場所で行われている野球キャンプに、長嶋茂雄さんが激励に訪れると聞いたからだ。まさしく前述したような装備と心意気で球場に向かった。そして全席自由のネット裏の席を確保した。いっとき僕の心は少年のそれに帰った。だがしかし、心が躍るのは長嶋茂雄さんの姿だけであった。練習や紅白戦を通じて選手たちの声は聞こえない。スタンドからも”プロ”のプレイを求める”野次”は飛ばない。その静かな雰囲気が、現在の日本プロ野球を象徴しているように思えた。あの、僕が少年の頃の魅力的な”プロ野球”はどこにいったのだろうか?これは単に僕が”大人”になって理屈っぽくなったからではない筈だ。

選手たちの人間味が見えない。
今の野球少年たちが魅力に感じるものは何か?
「〜選手!サインください。」の声が球場出入口付近に虚しく響く。
”規制”を搔い潜り、握手やサインを貰う手段を昔は発見できた。
などと過去の野球少年は、その心意気を失わず今は戯言を書き連ねたりもするのである。
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