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在りし日の己を愛するために

2014-01-27
桑田佳祐(ソロ)の曲の一節。
「在りし日の己を愛するために
 想い出は美しくあるのさ
 遠い過去よりまだ見ぬ人生は
 夢ひとつ叶えるためにある」
(「明日晴れるかな」より)

このフレーズが何度も心の中に流れ続けた。「在りし日」は、僕が東京に住んでいた頃。年もあらたまりそれはもう「過去」と呼べるようになってきた。「想い出」に繋ぎ止められていては、「夢ひとつ叶える」前進が遂げられなくなる。されど「まだ見ぬ人生」のためにも、「美しくある」人々との再会をしたいという感情が高まった。

世間話が好きなおじさんがいる酒屋さん。僕の住んでいたマンションのすぐそばにある。地方赴任にいよいよ来る際には、豪華なワインを餞別にいただいたのが忘れられない。ひさしぶりであるが元気なおじさん・おばさん、そして息子さんの顔が見られた。日常の苦難を忘れるがために、心の潤滑油のように飲んだ”瓶ビール”。いつもおじさんか息子さんが、僕のマンションの一室まで配達してくれていた。”缶”にはない旨味に舌鼓を打ちながら、、まだ見ぬ「夢」を追い続けていた頃。「夢」はいまや「現実」となり、そのために僕はその酒屋さんがある街を離れた。再会すればいまだ健在の笑顔があった。

酒屋さんの向かいには豆腐屋さんがある。その手作り豆腐は絶品で、その後二度とスーパーで豆腐が買えなくなった。昨年、僕が街を離れる頃には、おじさんの体調不良も重なり営業が困難になっていた。久し振りに出向くと、豆腐屋の店構えが立派な玄関に改築されていた。酒屋さんの方から見ているとおばさんの姿が見えたので、挨拶に路地を渡る。元気になったおじさんも出て来て、笑顔で迎えてくれた。健康に留意するがために、僕はこの店の豆腐や厚揚げを食べ続けた。それもまた日常の苦難を乗り越えるがための栄養であった。

僕の「過去」を支えてくれた、二軒のお店の「人々」と再会できた。その「過去」の延長線上に「今」があり、更なる「夢」が空間を超えた新たな場所で起動している。「想い出はうつくしくある」ためには、そこで心の会話をした人々の「存在」を忘れてはならないのだと思う。路地を歩く自分は紛れもなく「今」なのであるが、いつしか「過去」の美しさが透けて見えるような気分になった。寒い冬ながら、心が”温まる”時間が過ごせた。

「今」を構成している支えてくれた人々の笑顔。
僕は、土地でも住宅でもなく、そんな個々の「人」をこれからも大切にしたい。
「今」住んでいる土地に最終便で戻り、友人に土産を手渡す。
そう!ここにもまた次の「夢」のために、僕を支えてくれる人がいた。
物理的でも利害関係でもない、「生きる」とはこういうことなのだろう。

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