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語学習得文例とリアルと

2014-01-16
「お菓子を食べながらテレビを観ます。」
「お酒を飲みながら運転してはいけません。」
「雨が降っても旅行に行きます。」
いずれも日本語習得上の文例である。
僕たちが外国語を学ぶ時にも感じる、文例とリアルとのあいだ。


昨今のコミュニケーション重視の外国語教育の潮流では、かなりリアルに使用できる文例が用いられるようになった。だが、僕たちの時代に中学校で学習した英語の教科書掲載文例は、殆ど英語母語話者がリアルには使用しないであろうという内容が目立った。俗にいう”This is a pen.”や”Are you a student.”などの文例を「見りゃわかるじゃないか」と、”お笑い”で揶揄するような状況を真面目に取り組んでいたということである。

大学院日本語教育支援の国内実習を参観した。2名の学生さんが、磨いて来た授業力を存分に発揮していた。緻密に構想されたその授業は、学習者として参加した外国人学生たちも納得した様子であった。文型・文法指導や授業技術は、概ね問題なく進行しているように僕の眼には映った。だがやはり、国語教育を専門としていると、言語的分析以上に文例のリアルさに眼が行ってしまいがちである。

「A ながら B」という場合、「A」と「B」の「主従」「軽重」関係をどれほど見出せるのであろうか?「お菓子が食べたいのか、テレビが観たいのか」はその時々の状況にも左右され、また発話の場面や個人によっても微細な差が生じるであろう。ましてや「お酒を飲みながら・・・」の文例は、さすがにそこまでの「飲酒運転」に及ぶ者はある意味で稀少で、「お酒を飲んだら・・・」というのがリアルな文例のように思う。外国人留学生から「携帯を掛けながら運転をしてはいけません。」という文例が出て来たのは、実に生活に密着した文脈化・個人化されたものであると思えた。

実際に外国人留学生が参加する「国内研修旅行」があるという。たとえ「雨が降っても」そうでなくとも、必ず「旅行」には行く筈である。幼稚園の遠足ならば、雨で中止という可能性もあるが、「A ても B」という文型を教えるがために、リアルな事例から考案した文例である。だが、そのリアルそのものの状況と、文例の内容がやや乖離したものになってしまったと言わざるを得ない。留学生が興味を示すような、旅行先のアクティビティを文例にでもすれば、学習者が表現する意欲も増したように思われた。

語学の文例は、学習の枠内に押し込めておいていいのだろうか?
僕たちが、英会話を学ぶ時にネイティヴなら言わないといった表現文例。
その裏返しで、日本語教育の難しさも感じた。
〈教室〉における文例、〈文法〉のための文例をどの程度のものにするか?
文学教育と語学習得との差異でもあり、様々に考えさせられる機会であった。
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