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ジオラマの魅力

2013-12-26
手に取れない世界を凝縮して、
眼前に展開するジオラマの世界。
ときにその精巧さに驚くことがある。
現実をコンパクトに再構築する行為。
そこのある想像力と柔軟で豊かな心。

再び絵本の話である。あべはじめ作の『クリスマスのよるに』(BL出版2013年)では、母親と二人暮らしの少年が、一人でクリスマスイブを過ごし不思議な体験をする物語である。そこで焦点となるのが、机上にあった"スノードーム"である。硝子玉の中に降雪の光景を再現した、コンパクトなジオラマである。そこで少年が体験したこととは・・・?

僕も少年の時から、ジオラマが大好きであった。高級なものは身近にはなかったが、「サンダーバード秘密基地」の模型が、自分で作れもしない年齢ながら欲しくて、母親に組み立ててもらった記憶がある。その基地からは1号から4号までの救助機が出動動作をし、宇宙ステーションである5号は、針金に支えられ基地上空に浮いていた。サンダーバードは、「災害救助」がそのストーリーの要であるから、出動以後はテレビで見たものを再現するか、自分の中で「物語」を創作してミニカーを使用したりして、「救難」する物語を想像し再現していたものである。

僕が研究する平安朝和歌にも、ジオラマが登場する。洲浜や屏風絵といった類のものがそれで、その虚構の光景を基にして、作歌するという行為がなされる。自然を一旦はコンパクトな把握できる世界に凝縮して、それを如何にも自然そのものであるかのように言語で再構成するという芸術的作業である。書物の中の文字文化のみならず、人間は鳥瞰的な世界観を立体的に再現し言語と関わらせることで、豊かな心と想像力を練磨してきたといってよい。

いま読んでいる書物に、次のような一節を見つけた。「カチカチに固まった身体で精密な運動をすることはできない。」その書物でも指摘されているが、「思考」でもまったく同じことが言える。柔軟な心があってこそ、精密に物事を考え判断することができるのだ。精巧なジオラマを生み出す精緻な作業にも、たぶん手先のみならず想像の柔軟さが求められているはずである。そこに僕たちは、世界観を感得できるゆえに、そのコンパクトな"虚構的現実"に魅せられるのであろう。

絵本の中の豊かで温かい心のあり様。
いま国語教育で必要なのは、こんな部分かもしれない。
Xmasを過ごして得られた感情の機微。
絵本によって、また新たな自分の心の方向性に気付く。
いつも童心を忘れぬ無邪気さの中に身を置いていたい。
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