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「〜させる」から「〜したい」へー学習意欲こそ問題だ

2013-12-05
PISAショックから10年が経過した。
日本人の15歳学力が回復したと報道された。
確かに参加65カ国の中での順位は上位にある。
だがしかし、学習意欲の低迷は依然問題である。
「〜させる」学習から未だ脱し得ないということなのか。

報道によっては「V字回復」などという華々しい見出しが踊った。僕が専門的に一番関心をよせる「読解力」は、上海・香港・シンガポールに続く4位。10年前のPISAショック時のランキングが14位であるから、グラフを見れば確かにV字を描いている。2005年の「読解力向上プログラム」や2007年からの「全国学力テスト」などの具体策の成果が見えてきたとも言えるであろう。だが未だ大きな問題なのは、「学習意欲」の面である。

「表現力」や「活用力」を育む為の手立てが施され、課題解決型の学習も現場の先生方の努力により、かなり定着して来た。改訂された新指導要領では「言語活動」が重視され、思考する学習が行われている。単なる詰め込みを脱し、個々の多様な思考を尊重し育む教育へと大きく転換したのも事実であろう。だがしかし、やはり「学習意欲」が向上しないのである。

10年前に問題とされたことの一つに、「白紙解答」があった。自由に記述する類の設問になると、何も書けずか、書かずか「白紙」で答案を提出する子どもが多数いたのである。その要因の一つに、PISA学力テストの出題形式に慣れていない子どもたちが多かったという点があった。ゆえにその後は、「PISA型」という喧伝文句が盛んに唱えられ、「テスト」の出題に対応した学びが展開されて来た。今回の結果発表の対象となった現在の高校1年生が、10年前には小学校入学であるから、その焦点化した「テスト対策」が功を奏したという穿った見方も可能である。

現に、身近な現職中学校教員の方との話題の中で、高校入試で「記述問題」の正答率を見ると低迷が顕著であり、未だ「白紙解答」が多数見られるという現状もあると云う。現在も小中高を問わず多くの〈学校〉において、「入試対策」がその学習意欲を支える中心に位置している。局部的な物言いをするならば、「テスト対策」こそが「意欲」なのである。その環境に、教師も保護者も本人たちも疑問を抱かず、むしろその「対策」を促進することこそ「学校の使命」であるかのような偏向した発想で、学習観が形成されているように思えてならない。

それだけに今回の「回復」も「テスト対策上手」な日本人による、一つの「成果」だという皮肉を述べるのは、教育関係の研究者としてあまりにも捻くれているだろうか。個々の子どもたちの真の興味関心を引き出せず、建前で高得点を目指”させる”教育とは言い過ぎであろうか。もちろん「PISAテスト」そのものの理念や価値観にも批評的な眼を向けた上で、このような考え方を述べる必要性を痛感している。

スポーツを本気でやりたいと思うように、
学習に対して「〜したい」と思うような環境を整える。
日本という国は、何かに「従う」ことに慣れ過ぎている。
学習は「〜させる」という押しつけではならない。
何事も「仕方ない」では人生は豊かにならない。
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