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後ろ姿のじしんはあるか

2013-10-19
種田山頭火の有名な一句。
「後ろ姿のしぐれてゆくか」
「自嘲」という前書きがあり、
客観視した自己を繊細で僅少なことばで切り取った。
敢えて今「後ろ姿のじしんはあるか」と僕自身に問う。

後ろ姿一つで感激することはあるだろうか?僕がこの日に観た後ろ姿は、実に偉大であった。昼休み、MLB中継をスマホで受信していた。僕の大のご贔屓、ボストン・レッドソックスがリーグ優勝へ王手を賭ける試合である。その8回裏1アウト、守護神・上原の出番となった。得点差は1点、通常は9回のみを抑える登板機会が多いので、やや早目の出番である。それだけに上原への監督の信頼は絶大ということだ。上原は、あと5つのアウトを自らの投球で奪取し、チームを優勝王手へ導く役割を託された。もちろん逆転されて敗戦となれば、敵方チームが逆王手となる緊迫した場面だった。

上原の投球は平常心を失っていなかった。8回は2者連続三振を奪取。そして迎えた9回裏は、持ち前のストライクが先行する投球で、3打者を詰まらせていずれもフライアウトに仕留めた。さすがに試合終了時には、大変な精神的重圧をくぐり抜けたというような、安堵と疲労の表情で捕手と抱き合った。1点差で本塁打1本も許されない場面。本当に観ているだけでも神経を磨り減らしてしまうような、野球の醍醐味を味わえた。

僕が上原のセーブを確信していたのは、その後ろ姿からである。外野フェンスと観客席の間にあるブルペンから、マウンド方向へ歩み出した背番号19は、実に逞しく頼りがいのある姿に見えた。それを観た瞬間、ジーンと熱いものが身体の中心を走った。自然と涙さえこぼれて来た。この感激は何だろう?昼休みの研究室で、こんな気持ちの高揚を感じたのは初めてだ。

そうだ!(自分の)後ろ姿にじしんはあるか?と自問自答した。決して自己では永遠に見ることができない”後ろ姿”。生き方や仕事に誇りを持ち、信念を貫いた者にだけ与えられる、勲章のような後ろ姿。僕自身のそれにも常に自信が持てるような生き方をしていたい。上原の後ろ姿には、また新たな野望と信念の貫徹を決意させる喚起力があった。期待されて結果を出すという、これまでの生き様に支えられた「自信」が醸し出す逞しさである。メジャー志望でありながら、日本プロ野球で苦闘した日々。足の故障も乗り越えて再起する、まさに”雑草魂”が、上原の後ろ姿を魅力的なものに造り上げているのだ。

”後ろ姿で語れる男になりたい”
ファッションのキャッチコピーにもありそうなことば。
だが、人間の本質を表出させるのは服ではない。
それまでにどう生きて来たか、である。
後ろ姿の自信はあるか!!!
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