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和歌文学研究のこれから

2013-10-13
第59回目の和歌文学会大会。
「来年で「還暦」を迎える学会」と、ある先生が。
するとまたある先生が、「更なる60年後はどうなるだろう?」と。
文学研究は生きていけるのか。
僕たちは大いなる危機意識を持つべきなのか。

大学の研究・教育を取り巻く事情は、大きく変化が強いられている。学生数の極端な現象。研究を維持するというより、大学として必要な人材が必然的に集まらない。10年後には現状の7割程度。高齢化少子化の問題は、こうした面にも暗い影を投げ掛ける。大学経営が逼迫すれば、組織の経済効率優先な改革が断行されて行く。そのことは必然であるとしても、改革の基準として「文学」が軽視される傾向を、何とか食い止めるべきではないかという強い思いに駆られた。

大学間格差も甚だしさを増している。「競争力」の名の下に、「社会への貢献度」が大きな評価基準となる。すると自ずと「文学」の肩身は狭い。理工系や社会科学系という「現実」のみの充実と、来るべき時代への「進歩」を可視化して進められる学問は強いであろう。だが、古典研究のように「過去」への疑問を探究し、文字として綴られた人間のあり様を探る学問は、「社会への」という意味では、低く見積もられてしまう。だが、果たしてそうした基準の社会が、成熟した先進社会と言えるのであろうか。

科学が進歩しても、どんなに経済が豊かになっても、人には簡単には捉え難い「感情」がある。その粋を「文学」は、様々な形で僕らに見せてくれる。SFアニメで人間型ロボットが必ずや「感情」が作用する行動を起こし、周囲の人間と融合する物語に僕たちは感激する。人間は最後には「こころ」なのである。何の為に生まれ、何の為に生きるのか?その永遠の問いに正面から立ち向かってきた人間のことばを、大切に読んでいくべきではないだろうか。科学や経済での発展よりも豊かな社会とは、文学を大切にするはずなのだ。

これを正面から社会に訴えるのが僕らの仕事であろう。
和歌文学研究を支えてきた多くの先生方の恩恵をあらたに認識し、
その価値を多くの人がわかるようにしていかねばならないだろう。
文化を大切にする国こそ、
真に豊かな国なのであるが・・・。
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