言うは易し行うは難し
2013-10-07
体操世界選手権の妙技。その難度を本当に理解するのは難しい。
ゴルフのロングパット。
簡単なようだが小さなカップに入れるのは至難の技だ。
何事も「言うは易し行うは難し」であることは多い。
日本の体操選手が続々と新技を敢行し、自分の名前を「技の名前」に刻んでいる。吊り輪や床での新技をTV映像で観た。たぶん器械体操の経験がない方であれば、どれほど難度が高いかという判定は難しいのではないかと思う。例えば、吊り輪上で十字懸垂して脚前挙、などと言葉でどういう動作かわかるだろうか。その上で、上下に移動し静止するというのは、甚だしい難度であることを理解するのは難しい。
僕は高校に入学して、器械体操部に入部した。最初は低い位置で吊り輪の練習をしたが、ただ左右の手で輪を支持しているだけで困難なのである。ましてや地上から2m以上の位置でそれを行うのは、かなりの恐怖感が伴った。まずは一般人であれば、あの吊り輪の間で何もしないで身体を支持することが不可能であることを知ってもらいたい。
ゴルフのパッティングなどもそうだろう。器械体操と違い危険がそう伴わないので、余計に容易に見えてしまう。だがロングパットを寄せる一打や、それがカップを捉えることは、かなりの熟練のもとに行われているプロの技であることを悟る。これも自ら経験してみて初めてわかることだ。
体操世界選手権種目別床で17歳の白井選手が金メダルを獲得。タンブリングと云う最後に床の対角線上で行う連続跳躍技で、「後方伸身宙返り4回ひねり」を決めた。これが国際大会で成功例がなく、「シライ」という技として命名された。その”ひねり”回転速度といい、身体の美しさといい、映像を見た限りでは申し分ない。たぶん多くの方が、果たして「4回」ひねっているのかと疑問に思うほどの回転速度だ。僕のような、素人から高校で器械体操を始めた人間にとって、1回ひねるのでも完全にひねり切れるかどうか、といった状態であったのを思い出すに、「4回」というのは「神業」の域であると痛感する。たぶん僕が高校生当時であったら、「理論では可能だが実現は不可能」という域の技であったような気がする。
スポーツは観戦して楽しむ部分があっていい。
だが、どれほど高度なのかを知るにはライブで観るしかない。
映像と報道が作る踊った言葉で、その本質を理解した気になってやしないか。
スポーツに限らず何事も、”本物”を観ようとする心が必要だろう。
それでもなお、「言うが易し」の愉快さを否定はしないのだが・・・。
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