提出〆切の風景
2013-08-03
前期レポートの最終〆切日。果たして定めた時間までにすべての受講者が提出するか?
学生もその時間に対して段取りを組むのだろうが、
受け取る側も甚だ気を揉む時間となる。
「単位不可」を付けるのも楽ではないからだ。
定刻を過ぎてレポートを受講者名簿で確認。出すべき受講者が全員提出している安堵感。評価する以前に、まずは超えていてほしい境界である。提出方法もいくつかの配慮が必要だ。昨年度は、ある非常勤先の大学で「提出用BOXに出した筈」という主張を学生がしたが、僕の手元には届いていないという齟齬があった。無人の場所に提出するというのは、それだけでこうした行き違いの原因ともなる。
現在の勤務先では、研究室ごとにポストが設置されているので、そこを提出先とすることもできる。だが、授業の際に「もし在室ならば、手渡しが望ましい」といったことを話しておいた。学生たちはほぼそれを遵守した上で、上記のような提出状況に至った。欲をいえば前週に教場提出してきた学生が、理想ということにもなる。(試験科目との関連も考慮して、提出日に1週間の幅を持たせた。)
その昔、僕の大学院指導教授が憤慨していたことがあった。研究室の扉上にある空気窓が開放されていたのをいいことに、そこからレポートを室内に投げ込んだ学生がいたということに対してであった。〆切を過ぎて、何とか在室時に懇願に来るならばまだしも、この不躾な態度に温厚な指導教授も、信じられないという怒りの表情を浮かべていた。自分が授業で学んだ成果の集積であるレポート。ゆえに自己の勉学態度に対する冒涜でもあるようにさえ思える行為だ。
僕の出身大学では、卒論提出が実に厳格であった。(これで普通なのかもしれないが)事務室に提出する際に、閉室時間を1分1秒でも過ぎればその時点で「1年留年」となる。現に知人でこのような憂き目を見た人がいた。それだけに、既に製本された卒論冊子を事務室に閉室時間前に持ち込み、そこで最後の書き込みをしている者さえいた。今や卒論手書き時代の昔日の光景であるが、〆切への重さをひしひしと感じるものであった。
最近では、レポート提出が遅れた理由に「プリンターインクが切れました。」「壊れました」ということを言う者が多い。だが〆切というのは、その状況も想定し配慮してでのことである。まったく提出が遅れた理由にはならない。そういえば、僕が修士論文を提出する際には、「コンピュータ2000年問題」という、今にしてみれば笑ってしまうような出来事に苦慮していた思い出もある。自らのPCのOS更新に気を遣ったり、最悪の場合を想定し、1999年内に修士論文全文をプリントアウトしておいたりしたものだ。(提出は1月10日であった)更には、修士論文データは複数の媒体に保存し、保管場所を実家その他にまで分散していたという記憶もある。どんなことがあっても〆切を厳守する姿勢を学んだものだった。
〆切までに履行する段取力。
何事も時は待ってくれないことがある。
勤務校の学生が概して誠実であったことに、ささやかな幸福を感じている。
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