ことばと自己との対話
2013-05-22
カーラジオからある曲が流れた。題からして気になった。
曲が始まり思わず歌詞の内容に重点を置いて聴いた。
いつしか涙が流れた。
運転に支障が出るほどに・・・。
ことば・文に邂逅して一気に心を揺さぶられることはないだろうか。思いがけない状況で意外であればあるほど心の振幅は大きい。予想もしない場面で、心の奥底にある琴線を歌詞のことばが大きく搔き撫でるのである。その響きが”涙”となって流れ出る。「心」は何と純粋なのだろう。そしてまた「ことば」は何とも表現し難い誘発力を持っているのだろう。
ことばと自己は常に対話をできるとよい。ことばが形成する思考を読み取り、自己の経験や現況と対比する。語彙や文法上の理解ではなく、自己の心の鏡でことばを写し取る。すると自分にしか見えない響き方が現出する。歌詞の優劣というのは、多くの人が心で汲み取った時に共鳴する普遍性の深浅であるといえるのではないか。
ことばは訴える。だがその訴えの本質を聴くには、汲み取る側の”仕事”が必要だ。ことばの咀嚼・理解はもちろん、様々な体験を通して自己を開放する心の広さが求められる。苦しい状況で歌詞のことばに勇気づけられるのは、体験をことばで客観視したからに他ならない。新しい体験をしたからこそ、ようやく理解できる歌詞のことばがある。また逆に歌詞のことばによって新たな世界観を築く場合もある。
歌詞のことばを中心に考えたが、
できるならば「教材のことば」からも
同じような心との対話を持って読み取り理解する〈教室〉にしたい。
それでこそ学習する主体である「読み手(読者)」を
最大限に尊重した教育になるだろう。
自己と対話する〈教室〉を目指して。
それでこそ初めて他者も尊重できる。
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