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定着ではなく愛好へ

2013-05-11
昨日の小欄では、「古典教育」における小中高の連繋を考えた。
同様に「外国語活動」が導入されている小学校で始発する英語教育もまた、
考えるべき課題が山積しているようである。
そして、「古典」とともににその連接は功を奏しているのであろうか?

「Do you like・・・?」
「Yes, I do」
「No, I don’t」

「・・・」部分に何らかの食べ物を挿入して発話し、それに答えるドリル式会話練習。もちろん、自分自身の好みで返答すればよいのだが、やっているうちに慢性化した雰囲気となり学習者の興味・関心が極端に薄れる印象を持つ。

こうした単調な活動に対して、多くの食べ物が羅列された絵柄の中から自分の好きなものを3つ選び、他者に「Do you like・・・?」と質問していく。そして自分と食べ物の好みが合う友人を発見して行くという”遊び”。

前者が中学校での外国語”学習”、後者が小学校での外国語”活動”の一例である。その要点は、中学校では「定着」を目標とするが、小学校では「愛好」することに重点が置かれるということだ。英語教育を専門とする先生の話によると、こうした小学校での外国語活動では、教員も「気軽」に「学級作り」の感覚で「楽しむ」雰囲気もあるという。ともかく外国語を使用することに対する抵抗感を払拭し、好きになることが大きな目的であるという。

何事も指導者が「定着」を意図した時に、「学び」が埃を被るかのようにつまらないものになるようだ。「古典教育」でいえば、高校段階で「文語文法」を体系的に学び始めた途端に「古典嫌い」が急増するのではないか。高校での多くの指導者は、学習者に文法の知識が「定着」していないことを嘆き、小テストなどを繰り返し「なぜ覚えないのか?」と憤慨しながら、「文法大系」の丸暗記を強いて行く。本来は面白い題材を自ら読もうとする”意欲”を置き去りにしながら、「文法が定着しなければ、古文は読めない。」という警句を発し、ひたすら「定着」を求めるがゆえに、お互いに苦痛を伴う〈教室〉での学びとなってしまう。しまいには「品詞分解」をすれば「古文の授業」であるというような工夫のない状況が多々散見される。

「聞いて・話して」人と交わる楽しみを覚え。
「読んで」みて内容に深く興味が惹かれるか。
「書いて」みて内容が相手に伝わるか。
そんな活動に「愛好」する気持ちが持てるならば、
語学はもっと楽しいものになるだろう。

外国語であれ、国語であれ、「学習者主体」の活動が求められている。
それならば、「聞く・話す・読む・書く」意欲を喚起する活動こそ求められるであろう。
意欲あればこそ、語学習得上の道理として自然に「定着」に至るのではないだろうか。

大学院の授業を担当していてふと考えた。
外国語教育・国語教育・日本語教育
それぞれの殻に籠ることなく相互の良さを導入し、
柔軟な学習活動を展開して行くべきではないだろうか。
外国語(英語)と古典。
小学校で始発するこの学習活動の今後に注目である。
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