B-STRONG
2013-04-18
昨日に続き、ボストンマラソンでの爆弾事件の話題。事件現場からボストンレッドソックスの本拠地フェンウェイパークまでは、
約1.7Kmほどしか離れていない。
当日の選手たちは、試合後すぐクリーブランドまで移動する為に空港に向かっていた。
そこであの痛ましい悲劇を知らされたという。
翌日クリーブランドでの試合は予定通りに行われたが、
ボストンの選手たちは集中した姿勢で試合に臨み、
2回に一挙7点を奪う猛攻で相手チームを圧倒した。
野球そのものはもとより、こうした状況のなかで選手たちが見せた姿勢には特筆すべきものがあった。ロッカールームで「B-STRONG」のロゴの入ったフラッグに全員がサインをし写真に収まり、ボストン市民の心の支えになるべくエールを送った。ベンチには「BOSTON 617 STORONG」と背中に入ったユニフォームが掲げられた。また先発三塁手のミドルブルックス選手は、スパイクの外側にマジックインキで「BOSTON STORONG」と書き込んでプレーした。もちろん試合前には黙祷が捧げられたのはいうまでもない。
相手チームの監督は、2年前までレッドソックスで指揮を執り、2回のワールドシリーズ制覇を成し遂げている名将・テリー・フランコーナ氏。必然的に2004年2007年におけるボストンの勇気が回想される。ボストン市民にとってこの試合を観ること、そして選手が強さを前面に出して闘うことは、この上ない心の支えになったはずだ。こうしてメジャーの選手は、当然ながら社会貢献への意識が個々人のレベルで非常に高いことが感じられるのである。そして無条件に「即応」する姿勢に、米国社会の心の温かさが享受できるのである。
レッドソックスの選手ばかりではない。この日、球場に詰めかけたクリーブランド市民のなかには、ボストン市民に対しエールを送るプレートを掲げる人たちも見られた。また宿敵であるニューヨークヤンキースの試合では、3回終了時に「スィート・キャロライン」という曲が球場に響き渡ったという。この曲は、ボストン・フェンウェイパークで8回裏の攻撃開始前に流されるレッドソックスファンの”愛唱歌”である。この曲によって作られた球場の雰囲気は全ての劣勢を跳ね返し、試合終盤での大逆転劇を産み出す原動力になるような力を持っている。普段は猛烈に牽制し合うヤンキースファンたちも、この日はボストン市民への”支援”を全面に出して観戦していたようだ。
スポーツが社会にできることは何か?
野球ファンとして、常日頃から深く考えたいテーマである。
大震災の後に、「開幕をどうするか?」などと右往左往している国もあった。
選手も球団も機構も、野球だけをしていればいいのではない。
プロスポーツを運営することには、大きな社会的責務があることを認識すべきだ。
「B-STRONG」
レッドソックスファンとして、ボストン市民へ気持ちを寄せる日々が続く。
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