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アンチこそ愛好

2013-04-08
巨人が72年ぶり開幕7連勝だという。
実は僕、幼少の頃から”熱狂的”ともいえる巨人愛好者であった。
父は長嶋の大ファンであったし、後楽園球場も自宅から近かった。
だが、2000年代になった頃から、巨人の勝ちに抵抗感をもつようになった。
日本プロ野球のあり方が問われ始めたのと期を一にする。

最近、周囲の人からも「巨人ファンに復活するのでは」と囁かれたりもする。だが現状でそれはないと断言しておこう。いま僕が巨人ファンに戻るということは、野球自体を敬愛していないということに等しいからである。幼少の頃から好きだった野球を観る視点が、MLBにまで拡大し相対的に野球を観たいという願望が強いのも大きな理由である。客観的にBaseballという視点から観た「日本プロ野球」は、果たしてどんな点が魅力なのだろうかという問題意識が僕の中で根を深く下ろしている。

”相対的”にといった場合に、WBCという大会の存在が大きい。この大会で活躍した選手が次々とMLB球団の門を叩いた。もちろんその後の活躍は選手個々に依るのだが、日本野球の力が相対的にどう位置づけられるかということを、可視化できるようになった。またある意味では、WBCによって「日本プロ野球」の中から、殻を割られて引き抜かれる選手が増えたともいえるだろう。今年は準決勝敗退という結果であったが、今後MLBへ向けて動く選手がどのくらい出るのかも注目である。その点では、明らかに過去2回の大会よりも今回は「殻の中での戦力」であったともいえる。

シーズンに入った試合をスポーツニュースを見ていて、例えば中日の井端がチャンスで凡打に終わり、巨人の長野や阿部が本塁打を華々しく打つ場面を試合全体から映像として切り出して目にすると、何とも言えない感情が心の中をよぎる。WBCにおいては一番頼れるベテランであり、ベストナイン(DH)にも選出された井端。それに引き替え、チームを牽引できていたのかどうかという主将と先頭打者。こうした華々しい本塁打を、せめてWBCの”窮地”な場面で観たかったというのが、僕の現在の感覚である。正直に本音をいえば、WBCにおいて参加した全ての巨人選手は、尽く頼りにならなかったということが、”事実”として顕然としている。

彼ら巨人選手は、球団に帰りシーズンが始まり、このように華々しく投打に活躍すればいいのだ。(まあ肝心な場面で本塁打で逆転を許す投手もいるが)換言すれば、その「GIANTS」のユニフォームと東京ドームという本塁打量産球場による威光と援助により、あくまで殻の中で活躍すればいいのだ。ユニフォームの胸のロゴが「JAPAN」となり、相手チームの選手に先入観もなく、広く海風の強い球場では、あくまで勝負弱い選手でしかなかった。その点に何より大きな不満が僕の中にはあるのだ。

昔日の巨人野球というのは、「メジャーを超えろ」という意志があった。
日本球界をリードする存在であったのは、理想の野球を目指していたから。
何が「理想」かというのは様々な観点があろうが、
巨人軍の魂というのは、緻密で志の高い野球への姿勢ではなかったのか。
WBCとシーズン当初の巨人選手を比較してみると、日本プロ野球の「殻」が見え隠れする。

憤慨されている巨人ファンの読者もいることだろう。
せめて最後に一つのプレーを讃えることにする。
昨日の試合、9回表、中堅手・松本の好捕こそ巨人野球の真髄を観た思いがした。
その勝負強さに、僕の巨人愛好の魂は微量には揺さぶられるのである。
だがしかし、幼少の頃は理解できなかった精神、
「アンチこそ愛好」を胸に、日本プロ野球にも注目してみようと思う。
そんな意味では、WBC準決勝敗退も大きな成果であったのかもしれない。
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