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親離れ子離れの季節であるが

2013-02-02
「やはり窓から緑が見えた方がいいわね」
「この部屋日当りが十分ではないわ」
「買物するには少し不便ね」
大学新入生の母親の発言である。
そして「入居申込書にご記入下さい」
といわれて自ら記入を始める。
そこで見かねた不動産屋さんの女性社長が曰く
「申込書は息子さん自身に書かせて下さい!」

必要があってある不動産屋さんを訪ねた。そこは母娘で切り盛りする家族経営の小さな店。偶々発見した好条件の物件に貼付けられた看板に誘われて知った。Web上にある不動産検索サイトなどでも多くの物件を見たが、そこでは発見できなかった。全国に名立たる大手不動産会社もある中で、地元の街に密着した中小の不動産屋さんにお世話になることに決めた。これもまた僕自身の嗜好(同音語の「思考」とも言える)を運命の神様が知ってのことかもしれない。

必要不可欠である事務上の話を終えて、その“女性社長”と世間話に花が咲いた。大学教育に携わる僕の立場を知ってのこと、自ずと昨今の大学生事情の話題に。部屋を探しに来る多くの新入生が親とともに来るらしい。年間に新入生だけで来るのは数えるほどだという。そうした“稀少”な新入生が来ると近所で食事までご馳走したというエピソードも話してくれた。一緒に来るだけならともかく、冒頭に書いたような(自分が住むかの如き)言動をする母親も多いと聞く。

18歳は「親離れ子離れ」の時季だ。米国ではたいてい大学入学等を機に親元を離れて生活を始める。その後の自立した生活環境に身を置くことで、親の“ありがたみ”も知る。その為か、クリスマス等を始めとして家族で集まる機会も大切にされる。これはあくまで一般論で、米国でも家庭内に問題がないわけではないだろう。だがしかし、「親離れ」は社会通念として意識されているように思う。こんな意味でも米国の大学環境に、日本は劣ると言わざるを得ない。

過保護な親もいれば、子供が親に対して横柄な態度をとる場合も数多く経験したと社長さん。そうした“理不尽”に接したときには、大抵がその“お客さん”を諭すという。商売上を超えた領域かもしれないが、この社長さんは大学生の“生き様”そのものに関わろうとしている。それがまた不動産業を経営している楽しみであるとも。決して大手の不動産会社にはない“温かみ”がこの店には感じられた。

しばしの懇談。
栗饅頭まで出していただき、すっかり話し込んだ。
やはりこの不動産屋さんを選んでよかった。
街とともに、そこに暮らす大学生と生きているお店。

この“地域”で僕に何ができるのか?
今後模索して行くことになる。
その生活拠点の鍵を受け取った2月1日。
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