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3年越しのカウンター

2013-01-06
3年、いや4年近くなるだろうか。その店を訪れた時、カウンターは満席だった。どうも時間帯が悪かったらしい。暫く待っても空きそうにない。一見しただけで魅せられてしまう雰囲気を持つ店。やむなく違う店の暖簾をくぐった。

店のある通りをあの日の記憶頼りに歩く。建物の境目の狭い路地にある入口。見つけた!記憶は微塵も劣化していなかった。もし失われている記憶があるとしたら、以前に代替として入った店だ。何度か探すように往来を彷徨したが、とうとう見つからなかった。入店できなかった店を記憶していて、実際に料理を食した店を覚えていない矛盾。何かとても数奇な縁のように思えてならない。

カウンターに座っておでんを注文。つゆの染み込んだ大根・柔らかくても形が保たれているじゃがいも・煮込まれてもしっかりした厚揚等々。名物の料理に舌鼓をうった。いつしか隣に座る賑やかな常連さんと意気投合していた。袖すり合うも多生の縁。一方の男性は僕の生家のある街に先祖の墓があるという。距離では測れない親近感がそこにあった。

4年近く前にこの地で行われた一大イベント。多くの人が熱狂した。その時僕が見守った力は、海を越えて世界一を勝ち取った。僕の中には、一喜一憂せざるを得ない独特の悔恨が遺された。あの意味は何か?それを人生の機微と呼べるならば、今になってその答えがみつかりそうな気もする。それゆえにこの地に来て、“あの店”で一席しか空いていないカウンターに座ることができたのだろう。

人生には自分でも読めない伏線が仕込まれているのだろうか?
自分が主人公であるにも関わらず、
未だ僕はその伏線を読める優秀な“人生読者”ではない。
だがしかし、その時点で結末がわかるなら、
人生は面白くない。
まさに映画を最後から見るようなものだ。

焼酎におでん。
初めて訪れた店のカウンターで考えたことども。
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