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『クリスマスだからじゃない』特別な毎日こそ

2012-12-26
今年もクリスマスという“特別な日”かのように仮構された1日が過ぎて行った。バブル期頃からであろうか、その仮構としての虚飾度が表面的に増しているのがたいそう気になっている。それだけに日常をどのように過ごしているかが試されているかのような逆説に、自らを陥れたりもする。イブは、馴染みの洋食屋さんに出向き、奥さん手作りのケーキを家族のように御相伴にあずかった。こんなありがたさも、僕自身の日常の行動に依拠する。(と自負する。)

クリスマスソングの一押しは何か?という問いがある。先ほど、“バブル期”と書いたのは、それが山下達郎の「クリスマスイブ」と関わっているからである。当時、JR東海の新幹線CMに使用されたこの曲は、クリスマスに恋人がやっと逢える切なさを、この上もないほどに演出し未だに市民権を得ている。だがしかし、今年のクリスマスソングとして僕が一押しであったのは、桑田佳祐のアルバム「I Love You Now&Forever」(2012年7月発売)に初めて収録された「Kissin’ Christmas(クリスマスだからじゃない)」(松任谷由実作詞・桑田佳祐作曲)である。

「道行く人の吐息が星屑に消え
 気づいたら君がそっと手をつないだ
 忘れちゃいたくないよね今夜の瞳
 泣きそうな街中よりキラキラして

 クリスマスだから言うわけじゃないけど
 何か特別な事をしてあげる」

こんな歌い出しの曲であるが、静かな雰囲気に劇的な影は封印され、素朴な恋人達の心が見え隠れする。「泣きそうな街中」とはどう解せばよいか。はてまた「何か特別な事」とは何か。

「これから何処に向かって進んでるのか
 時々わからなくて哀しいけど
 きっと大丈夫だよね今夜の瞳
 新しい日を夢で変えてゆける

 クリスマスだから言うわけじゃないけど
 何か大切な事ができるような」

このように続く2番の歌詞では、これからの2人の行く末はわからず、「哀しい」という日常が顔を覗かせる。しかし、このクリスマスの日の「瞳」を見る限り、今後を「夢で変えてゆける」ことを確かめ合う2人がいる。そして「何か大切な事ができるような」と、クリスマスの意義を噛み締める。

曲の後半は、いくつかのリフレインで構成されるが、そこで述べられるのは次のような歌詞である。

「今年の出来事がすべて好きになる」

そしてその理由は、

「今年の想い出にすべて君がいる」

と吐露して曲は結びとなる。

またリフレインの合間合間には、
「主は来ませり」のメロディや
「もういくつ寝るとお正月」というコーラスが挿入され
クリスマスムードとともに
これが終わればお正月に向かうという
日本的情緒への接続が意識されている。

あなたにとって
「何か特別な事」
「何か大切な事」
とは何ですか?

「泣きそうな街中」の電飾やクリスマスケーキといった
表面的な「特別」のみではない
「何か大切」なものを胸に刻みたい。
そんな心穏やかな1年のまとめとしてクリスマスは過ごしてみたい。
“バブル”という虚飾に嫌悪感を抱いていただけに、
僕はあらためてこの曲で、真に豊かなクリスマスの感情を獲得できた。

それは、様々に喜怒哀楽はあれど
「今年の出来事がすべて好きになる」
ことである。

さて!
いよいよ「もういくつ寝ると」と数える時が来た。
特別な毎日を今日も生きる。
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