アイリッシュな響きと香り
2012-12-08
懇意にする神保町のボン・ヴィヴァンでアイリッシュナイトが開催された。女性2名ユニット「生梅」によるイーリアンパイプ&ハープ&ティンホイッスルによるライブである。なかなか普段ではライブで聞くことのできない音色の共演。しばし、アイリッシュに思いを馳せながら魅惑的な時間が過ぎて行った。パイプから音が出るのはどんな構造であるのか。見るからに単純ではないその構造。脇にある“ふいご”のような供給機から皮の袋に空気が送り込まれて、その皮を圧迫することでパイプへのエネルギーが供給されることになるそうだ。パイプ上で指が動いて旋律を作り出してはいるが、その脇構えにある装置に音の源がある。空気がどれほどの美しい音に変換されるか。「肺—喉—口」の関係を楽器として可視化したようで、実にその構造に興味が尽きなかった。
そして僕としては珍しくアイリッシュウイスキーの香りを楽しんだ。優しく甘みのある良質な香り。ワインとはまた違った香りの楽しみ方ができた。必然的にイギリス西部にある島国の地理や風土に話題が飛ぶ。あの中立的な位置関係にあり、海に囲まれた地理的条件が生み出した独特の文化。どこか日本的なものとの類似性と結び付けたくもなる。演奏後は、アイルランドに住んだことがあるという初顔のお客さんと、しばしイギリスでの体験などを語り合った。
欧州諸国で英国ほど入国審査が厳しい国はない。僕も遥か昔であるが、入国に際し多くの時間を要した経験がある。だがしかし、英国人曰く「日本ほど五月蝿くはない」のだそうだ。海に囲まれた“島国”であるという密閉性が、どんな文化を育んで来たのか。アイルランドも含めて、英国周辺の文化との比較から学ぶことも多くありそうだ。
パイプ&ハープの調べ
しばし喧噪を離れ
夕刻の地震も忘れる宵のうち。
豊かな心とは、こんな時間から醸し出されるのだ。
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