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5限の睡魔に「一人一文読み」

2012-11-28
みなさんも経験がおありだろうが、中高時代の昼休み後5限というのは甚だ眠い授業ではなかっただろうか。実技科目ならまだしも、特に「5限・現代文」などであると、起きているのが至難の業かと思えるような状況であっただろう。授業中の“睡眠学習”常連者はもとより、かなり誠実な生徒まで止む無く“舟を漕ぎ出す”始末に・・・。食後、30分後ぐらいの人間は必然的に睡魔が襲うのである。

こんな状況が一般的だとしたら、「5限・現代文」担当者教員が、いかに工夫を凝らして眠くならない授業を構想して授業に臨むかが重要になる。そんな中で考えられる、単純かつ即効性のある方法が音読による「一人一文読み」である。小学校段階の授業でよく使われるが、その目的は「読む集中力を養うため」であろう。教室の机の配置であらかじめ順番を決め、文章が句点(「・・・。」)まで来たら次の人へ順繰りに音読を繰り返す。文章を追っていないと読む場所がわからなくなる。早々に教室全員が読んでしまうので、2度目3度目の可能性もあるというもの。これを実施していれば、よっぽどの“強者”でなければ、睡眠に陥ることは少ない。

勿論、弊害も大きい。「順番が来たら音読する」ことのみに集中し、内容理解が疎かになりがちだ。同時に文章がぶつ切りに読まれるので、前後関係は自ずと理解しづらい。しかしながら、当たる順番に応じて文章の長さが極端に違う場合も多々あるので、作品の文体を体感するという効用はあるように思われる。大変短い一文を読んで、即次の人へとなると教室では周囲から聊か笑いがこぼれたりする。「第一に安静。」(梶井基次郎『檸檬』より)などという、たかが五文字の箇所が当たる人が、クラスの人気者であったりすると尚更である。

〈教室〉で行う「音読・朗読」の効用とは何だろうか?そんな命題を今年4月に刊行した著書で考察し纏めているが、まだまだ課題は多いと感じている。小学校で昨年度から、中学校で今年度から、高等学校で来年度から施行される新しいが学習指導要領でも、「音読・朗読」は尚一層重視されている。小学校で古典教材も扱うことになった。そんな教育現場で、「音読・朗読」という「言語活動」をどのように有効に機能させて行くか。今後も臨床的な現場での考察を含めて、深く研究して行きたい大きな課題である。

著書でも繰り返し述べたことだが、
〈教室〉で「音読・朗読」を強いられることで、
「国語嫌い」になる学習者を増やすことだけは、
何としても避けなければならない。
〈教室〉での「音読」で文学が好きになる授業を目指し、
今後も様々な実践を模索し研究する責務を痛感しているところである。

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