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漢字文化の力

2012-11-12
小中学校を通じて、漢字学習に悩まされた経験をお持ちの方も多いであろう。小学校で学習する教育漢字1006字(現在)。それに加えて中学校までに学習する常用漢字2136字/4388音訓(2352音・2036訓)が定められている。それでも漢字文化全体の総数からしたら僅かな数であるが、現在の日本語表記で頻用する文字数。近似した文字の多様さ、音訓の複雑な取り合わせの彩、熟語の含意する奥深さ等々、学習上の困難さが伴うのは必定である。だがしかし、日本語を表記する文字として、漢字は絶対的に不可欠なものである。

NHKスペシャル「中国文明の謎2」を見て、改めてその漢字文化の起源に思いを馳せた。今から約3000年以上も昔の古代中国「殷王朝」において、甲骨文字が創成された歴史を、最新の遺構発掘などの成果も踏まえて紹介していた。為政者が神との対話をする手段として甲骨に刻んだ原初的な漢字。その甲骨に熱く焼けた青銅の棒を差し込むことで、政(まつりごと)の吉凶を“占う”というもの。「占」という文字そのものが、「卜(青銅の棒)」と「口(神の声を聞く口)」という組み合わせで成り立っているという。

漢字文化が継承されて来た経緯として世界的にも特異な現象が、3000年に及びその文字形や文法に基本的な変化がなかったことと番組は伝えた。古代エジプトの「ヒエログリフ」に比べるとそれは明らかであるという。「音声が違っても漢字を見れば意味がわかる」という共通認識可能な文字が存在したことで、気の遠くなるような長い年月にわたり、意味を読解することを可能にしてきた。また同時代においても、あの広大な中国全土を一つに纏める力として、その共通認識文字は最大限に効果を発揮したのだという。漢字は時空を超える存在であるのだ。

「音ではなく意味を表現する」ことを特徴とする漢字は、いうまでもなく日本にも伝播し、その言語表記の根源となった。我が国の言語に適応すべく「訓」が施され、そして字形を原型とした「カタカナ・ひらがな」という表音文字が発明された。「音ではなく・・・」という特徴は、他言語の表記をも可能にする多様性を持ち得ていたことになる。「東アジア漢字文化圏」に存在するこの文化の由来は、遥か中国古代王朝にまで遡ることができるのである。

この漢字文化を独自に改鋳してきた日本文化のあり方。その祖先の営みにこそ、僕たちの根源的な思考が看て取れるはずだ。現在の漢字・漢文学習のあり方も、ただ詰め込むのみならず、こうした文化の延長上を僕たちが生きていることを学ぶ方法が求められよう。漢字一文字には、無数の“物語”が組み込まれているはずなのである。

中国の力が改めて世界的に伸長してきた今の時代だからこそ、
改めて「東アジア漢字文化圏」のあり方を考えてみるべきではないだろうか。
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