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酒酔い亭主と実直武士

2012-11-10
毎度、懇意にする噺家・金原亭馬治さんの「種の会」。今回は、前座を含めた全てを馬治さん一人で好演。与太郎のとぼけた仕草から会は始まった。落語における“道化”的存在としての与太郎。常識外れの言動が、笑いそのものになる。このボケたキャラクターを自らも演じてみたいという願望も抱きながら、表情の豊かさにまずは笑った。

この日の1本目は「風呂敷」。女房が知人の男をひょんなことから家に上げて話していると、意外にも泥酔した嫉妬深い亭主が、早々の帰宅。男を押し入れに隠して、先に亭主を寝かせようとする女房だが、この日に限ってなかなか寝ない。仕方なく近所の兄貴分に女房が助けを求めるという筋書。兄貴分が女房に説諭する際に、「女は三階に家なし」「貞女屏風にまみえず」「じかに冠をかぶらず」「おでんに沓をはかず」といった格言パロディが展開するのも興味深かった。さて、元の格言がわかりますか。

2本目は、「柳田格之進」という武家人情話。碁を通じて親しくなった旦那の家で、金を盗ったと疑われた実直極まりない武士・格之進が、自らの潔白を主張しながらも、娘を身売りして金を作り、疑いをかけた番頭に返金するという筋書。もし金が出て来たら、番頭もそして旦那の首も貰うと約束するが、さて金が額縁の裏から出て来てどうなるか。健気な格之進の娘の姿といい、武士の質実剛健ぶりを存分に描く人情話である。

落語には様々なキャラクターが登場するが、まったくそのどれも憎めない人物たち。江戸時代の人情の温かさが存分に伝わって来る。しばし馬治さんの好演に酔い痴れた宵の口であった。
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