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苦労あっての「忘れられない思い出」

2012-11-09
担当するスピーチクラスで、「忘れられない思い出」という課題がある。大学生がこれまでの人生を振り返り、1分半程度でその内容を具体的に誰にでもわかるように、そして伝わるように話すのである。要点は、どのようなトピックに絞り、自分が持つ世界観を語れるかということである。多くの場合は、高校時代の部活動や文化祭などの学校生活に関連するトピックが大半を占める。

今週の授業で行ったスピーチの中で、次のような趣旨を最後に付け加えて語る学生がいた。

「「忘れられない思い出」を探そうとすると、意外にも数少ないことに気付きました。友人と遊んだりして楽しいことの後には、これは絶対に「忘れられない」と思うのですが、それが思い出としてたくさん浮かんで来ることはありませんでした。本当に「忘れられない思い出」というのは、自分の中で大変貴重なものだと感じました。」

これは一般論としても貴重な気付きであると同時に、本人にとっても人生の価値を再発見した瞬間であるように僕は受け止めた。軽薄な楽しさはどんなに重ねても「忘れられない」という価値にまでは高まらない。様々な苦労や障害を乗り越える体験こそ、自分にとって貴重な体験となるということだ。この分かり切っていることに、大学時代に気付くかどうかは、その後の生き方を大きく左右するように思う。

スピーチとして、他者にどれだけ訴える力があるか。それは内容的に楽しいばかりのものよりも、辛く苦汁に満ちた経験こそ浸透力が増すように思われる。「物語」が進行する際に、必ず“境界域”で試練たる事件が待ち受けているように、“人生物語”を語るにも「苦難」を乗り越える体験こそ、「忘れられない」ものとなり、他者の心を動かすことができるようだ。

「苦労は買ってでも・・・」と俗にいうが、何かを乗り越える体験が、人生に彩りを与えるのであろう。その境界域が貴重であることに気付けるかどうか。スピーチという自己表現・開示という機会があるだけで、人生が豊かになることもある。みなさんも、親しい人に「忘れられない思い出」を語ってみてはいかがでしょうか。語ることは客観視するということ。きっと新たな自分、新たな人生に気付くことができるはずである。
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