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文の京12時間リレー「敢闘証」の意義

2012-10-22
人は12時間で何ができるのか。日常生活の中では、あまり計量的に把握することもできない。そのうち半分の6時間が生きることに不可欠な睡眠であるとしても、あとの6時間で何をしているか。有効に自分の“生”を燃やしているのだろうか。まさに12時間を実感する機会が、今年で2度目を迎えた。

居住地に所在するNPO法人小石川が主催する文の京12時間リレー。1チーム10名の構成で12時間襷を繋ぎ続ける。昨年の初出場にあたり、93周という結果が残せた。今季は100周を目指そうとチームで目標を掲げて臨んだ大会であった。昨年は手探り感がある中で、夢中に12時間が過ぎ去った。終了してみた“結果”93周という数字となった。夜明け方に迎えたゴールの感慨は、まさに大会主催者から提示された「完走証」という語彙に表象されていた。

今年は果たして7周の上乗せが可能なのか否か?チーム内で中心的に采配を揮ってくれた1組のご夫妻が、時間的な状況を詳細に分析し戦略を練ってくれていた。正直なところ、僕自身は長距離を走ると脚の一部に痛みがくることもあり、そのノルマをこなすことへの不安も大きかった。ただ、順番になったら1周を走り切り、次の人に襷を繋ぐしかない。先の大きな目標よりも目先の一歩しか果たせないだろうという心境だった。それでも、日常的に行っているトレーニングの成果が、どの程度発揮されるのかには、自分自身の未知の可能性を計るような期待がないわけではなかった。

ところがリレーが始まってみると、実に順調なペースで進行した。ともかく1周ずつ次の人に襷を繋ぐ。約1時間に1周というペースで、適度な休憩時間が得られ身体を休ませ過ぎることもない。チームのメンバーも序盤から好調な走りを見せて、1時間に10周以上という蓄積が成されて来た。当初の計画では途中で2周の回が設定されていたが、そのチーム全体の好調さを維持するために1周ずつという丹念な襷リレーに戦術を変更し、それが延々と継続した。約6時間が経過した時点で100周達成には十分な貯金。序盤からの戦術が見事に功を奏した。僕自身は、次第に懸念された脚の痛みが出て来てしまい、後半はまともに走ることができなかった。チームメンバーが休憩できるインターバルを削る結果となり、心苦しくもあったが、そのもどかしさを抱えながらチームメンバーの力走を見守る時間が続いた。

こうした結果、112周で総合順位も100チーム中34位、走破距離134.4Kmという見事な結果となった。今年主催者から授与された証書には「敢闘証」と書かれていた。まさに「勇ましく思いっきり闘う」という意味の語彙。そしてまた「敢」には、「封じ込まれたものを、思い切って手で払いのける」という意味がある。1年越しで蓄積して来たメンバー様々なこの大会への思いが、天候も各自のコンディションも良く、この12時間に「思い切って」噴出する結果となった。改めて、采配を揮ってくれたご夫妻、このメンバー全員の心の拠り所となっているカフェ店主ご夫妻、そして参加したカフェ常連メンバー全員に感謝の気持ちを、この場を借りてお伝えしたいと思う。

僕が昨年から、この大会に参加して考えていることは、居住地域での人と人との繋がりである。一つのカフェを拠点として、そこに集う人々が何かに挑戦して行くこと。都会では薄くなって来ている人間同士の関係性。地域で人が生活するというのは、どういうことか。そこに親しく語り合い、心を交わすことができる地域の仲間がいること。都会で失われた“人と人”との関係を再構築できるような繋がりはないかと考えて来た。それがこのカフェを中心に実現して来ている。今後も、この人間的な繋がりの中で、様々な問題意識が共有できたら素晴らしいと思っている。

問題意識といえば、「敢えて」最後に書き添えておきたい。

僕たちのチームは、上記のように地域住民として“人と人”の関係性で成り立っている。閉会式の際に感じたのは、上位入賞したチームに、地元に所在する企業が、全国の支所から参加選手を選抜し組織力を背景に表彰されていた現実を“傍観”した。また他の企業チームは、実に巧みに数量的組織力を以てして、各参加者が体力を維持できるような戦術を採用していたように見えた。決して僕たちは、順位へのこだわりはない。だがしかし、スポーツとして参加する以上、共通なカテゴリーの中で競いたいと思うのが人情ではないだろうか。地域を小さな社会と考えるならば、企業の存在が顕在化するのか、一人一人の住民が主役になるのか。現在・過去・未来における、僕たちの生きる社会構図が看て取れる気がした。それは例えば、この大会に対して近隣住民の方々からの騒音への苦情があったことにも表れているように思う。もちろん主催者の方々はその配慮を十分にされていたことだろう。昨年は、地域住民の方々が沿道から僕たちに声援を送ってくれる一場面もあった。だが、今年は“声援”ではなく“苦情”になってしまったのは大変残念であった。

地域に住む人々
地域で学ぶ人々
地域で働く人々

それぞれの“人と人”が心の襷を繋ぐ大会であればという願いを込めて、
「敢えて」戯言を付け加えた。

改めて居住地域に愛着を持つとはどういうことか?
そんなことも考えた大会参加であった。

最後に今一度、
メンバーのみなさん!本当にありがとう!
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