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“落語地方”方言

2012-09-29
恒例・金原亭馬治さん「種の会第21章」を大塚あのあの音楽堂で。この日の演目は、「天狗裁き」と「百川」の2席。双方ともに登場人物の会話のやり取りに見所のあるネタで、語りの部分はほとんどないといってもいい。登場人物の発話の特徴を巧みに演じ分けなければならない。ちょうどそんな落語の会話に興味が湧いていたところだったので、存分に勉強になった2席であった。

「天狗裁き」では、登場人物の「夢」の内容が知りたい人物が次々に変遷していく。女房・隣人・大家・お奉行そして天狗というわけで、主人公のキャラクターを固定しつつ、相手を演じ分けて行く必要がある。もちろん発話のみならず、表情に代表される所作の変化も見所だ。町人からお奉行そして天狗という大胆な変化に対応した馬治さんの多様な所作は、観ていて痛快であった。僕自身、なかなか表情の変化まで神経が行かないだけに、今後の課題として貴重な意識を持つことができた。

さて2席目は、有名な日本橋の料亭「百川」に奉公に来た田舎者の噺。どうやらこの江戸でも一・二を争う料亭が、宣伝のために実話を落語化したのだという。主人公が、いきなり客のご用聞きに行かされるが、そこで発する方言を客人たちが取り違えて大騒ぎとなるのが、この噺の根幹である。よってこの田舎者の方言を客人がいかにも“聞き間違える”発話が求められる。言おうとした元の発話の内容も、聴衆が分からなくてはならず、その微妙な方言の巧みさが見所である。

「この主人家の抱え人でごぜぇます。」
「この四神剣の掛け合い人でごぜぇます」

という両方に聞き取れる方言発話が要求されるわけだ。

客人たちは、祭りで使う隣町の「四神剣」を質入れして遊んでいるという状況設定があり、「四神剣」という単語に神経質になっているからこそ、聞き違えるという噺の設定が巧みでもある。それにしても田舎者の方言を、実に巧みに発話していた馬治さんの好演であった。

会の後で、馬治さんに「方言」について聞いた。

「どこかの地方の方言を元にして話しているのですか?」と。
「いやいや〜“落語地方”の方言でごぜぇ〜まして」

お後がよろしいようで。
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