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下地勇「10th Anniversary Tour〜 NO LIMIT〜」with下舘直樹

2012-09-27
懇意にするギタリスト・下舘直樹さんがバックバンドに参加する下地勇さんのライブを、渋谷duo MUSIC EXCHANGEで。“10周年”と題するこのライブ、下地勇さんの魅力が存分に味わえる豪華な内容であった。下地勇さんは、沖縄県宮古島のことば(宮古口=ミャークフツ)の歌詞をブルースやレゲエ等のリズムに載せて唱うシンガーソングライター。沖縄地方では、オリオンビールのCM曲でも有名である。Wikipediaに拠れば「宮古口」は、琉球語の一方言で、特に話される島によっても差が激しく通じにくいが、約5万人の話者がいるという。また「音韻」上次のような特徴があるというので引用しておく。



「i、ï、u、e、o、aの6母音体系を持つ。日本語本土方言のoとuがuになり、eがiになり、iがïになっている。
子音の独立性が高く、kiv(煙)やim(海)のように子音単独でも一つの拍をなすことができる点で日本語の中では独特である。また古いワ行がバ行に変化したと見られる例などがある。」




ライブ開始からこの「ミャークフツ」による歌詞が、絶え間ない波のようにライブ会場に押し寄せた。もちろん意味を考えることはかなり困難である。その曲調と流れによって、曲の総体を感じ取るしかない。時折、キーワードになるようなことばを発見しようと耳を研ぎ澄ますが、すると曲全体の魅力からは遠ざかるような気がしてしまう。ここでも「意味の呪縛」に雁字搦めな自己を発見した。

「音の力」を楽しむ。昨日の小欄に記した詩人・谷川俊太郎さんから学んだことだ。特に“教育関係者”は「意味」を考えすぎるということ。ここでいう「意味」とは、単語レベルの「ことばの意味」という範疇と同時に、「メッセージ性」とか「心情表現としての意味合い」という範疇が考えられる。些細な「ことばの意味」に巻き取られて、総体から発せられる「音の魅力」を享受することを疎かにしてしまう。詩と音楽の達観者によるパフォーマンスを二夜連続で味わい、「音の力」を大切にする姿勢・方法を教育面でも深く考えるべきだと痛感した。

さて、下地さんの曲を聞いていると、いつしか南の島の自然豊かな雰囲気の中に居るような気分になる。何物にも逆らうことなく自然と共生し、なおかつ“生きる”ということに前向きで貪欲な島の生活文化。そんな“人”としての迫力が、曲の随所から伝わって来た。僕たちは、勝手に「沖縄地方」と一括りにしてしまいがちであるが、その各島には各島のことば=文化があるということ。行政的管轄といった“作為”を超えた人々が生きているということ。「国家」の中に沖縄、そして宮古の島々があるのではなく、そこに海があり島があり人が住んでいるという「郷土」があるということ。下地さんの「ミャークフツ」にはそんな訴えがあるように、僕は“解釈”した。本当に「美しい」というのは、こうした個々の文化を尊重し交流し享受し合うことなのではないだろうか。「美しい国」はいらない。個々の「美しい郷土」こそ大切にすべきなのである。

その下地さんの魅力的な曲の数々を、バックバンドが支える。下舘直樹さんのーギターの旋律が、「ミャークフツ」を引立てる。時に激しく時に穏やかに。主役を輝かせる音として、この上ない力を発揮する直樹さんのギター演奏。一流ミュージシャンのバックという舞台で、直樹さんのギター演奏を聴いて、改めてその実力に感服した。そこにはやはり“直樹哲学”が生きているように思えた。

音楽の力
ことばの力

「音の力」を本当に美しく感じられる人でありたい。
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